話題のホテルで極上ランチ パリ三つ星小林圭シェフのフレンチやテラスで楽しむグリル
■魚介好きなら一度は行きたい「ニューイタリアン」
2023年12月にオープンした「ホテル虎ノ門ヒルズ」(東京・港)の1階にある「ル・プリスティン東京」は、オランダ出身のシェフで起業家でもあるセルジオ・ハーマン氏によるアジア初のカジュアル・ファインダイニング。ベルギーのアントワープにある本店「ル・プリスティン」さながらの洗練されたムードのなか、ハーマン氏の出身地であるオランダ・ゼーラント地方と日本の旬の食材を融合した「ニューイタリアン」を堪能できる。 ゼーラント地方はオランダの南西部にあり、北海に面した土地。オランダ最大の農業地帯であり、甲殻類の産地としても知られるこの地で、ハーマン氏の両親はムール貝をメインに扱うレストランを切り盛りしていたという。 そんな環境で生まれ育った同氏のレシピは、父の味を引き継ぎながら、現代風にアレンジしたもの。やはり魚介へのこだわりが強く、開業前から豊洲市場(東京・江東)などに頻繁に足を運び、生産者から直接話を聞きながら、納得のいく素材を仕入れるルートを築いてきた。 「ル・プリスティン東京」のメニューはもちろん、魚介が主役。シグネチャーのひとつであるシーフードのオレキエッテ(耳たぶ形のショートパスタ)は、国産の手長エビやハマグリ、アサリ、イカなどを自家製のオレキエッテと合わせ、ハーブや隠し味のンドゥイヤ(ソーセージの一種)をまとわせたもの。魚介の濃厚なソースが歯ごたえのあるパスタによく絡んだ、満足度の高い一品だ。 プレゼンテーションには日本から得たインスピレーションが多数生かされている。例えば、器はすべてハーマン氏が日本の「わびさび」から着想を得てデザインした、ベルギーのインテリアブランド「SERAX(セラックス)」の「INKU」コレクションを採用。日本の焼き物を思わせる素朴なデザインと質感が、ハーブやエディブルフラワー(食用花)などがあしらわれたカラフルな料理を引き立てる。 大きな窓を生かした開放感あふれる空間は、遊び心のある現代アート作品の数々やオリジナルのBGMのプレイリストに彩られ、居心地よく過ごせる。前述のオレキエッテや人気のティラミスなどのシグネチャーメニューは、以前はディナータイムのみの提供だったが、この夏からはランチタイムでも食べられるようになり、話題性の面でも今が行きどき。ビジネスランチに、あるいは女子会やママ友、家族のランチにと、重宝する一軒だ。 なお、8月24日~28日の5日間は、来日中のハーマン氏がアレンジした特別なランチコースが提供される(ディナーコースもあり)。この機会に訪ねてみてはいかがだろうか。 文:志村香織(ライフスタイルエディター&ライター、カラーセラピスト)
志村香織
『mcシスター』『エル・ジャポン』などの編集部を経て独立。ウェルビーイング(心身の健康や幸福)をテーマに執筆や編集ディレクションを行う一方、オーラソーマやカードリーディングなどの個人セッションを提供するサロン「drop’dee」を主宰。色彩心理に関する執筆や講演も。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。