「コンディショニングをもっと広めたい」 大工の見習いから”アスレティックトレーナー”になった理由とは
アスレティックトレーナー藤田敬が生まれるまで
藤田さんは2013年に競泳日本代表チームにトレーナーとして帯同。その後、日本オリンピック委員会医科学強化スタッフとしてたくさんのスポーツ選手をサポートするなかで「コンディショニングはアスリートだけのものではない。もっとたくさんの人にコンディショニングの良さを伝えたい」と2017年、香川県丸亀市にコンディショニングスタジオNicoをオープン。2022年に2号店となる高松店を開業します。 順風満帆にトレーナーの夢を叶えたのかと思いきや、決してそうではありませんでした。 「自分がやりたいことを掲げてここまできたのではなく、自分のなかの違和感に気づいたり、目の前の人をよくしたいという気持ちがここまで連れてきてくれた半生だったように思います」と。 その言葉どおり、藤田さんの経歴は異色。 代々大工の家系に生まれたこともあり、幼いころから漠然と大工になると思っていたといいます。 工業高校を出て大工の見習いを始めて3年経ったころ「自分のしたいことと何か違う」と違和感を持ちます。そして自分探しの旅に出るように、さまざまな場所で働く人に会いに行き、話を聞いたそう。 「たまたま不調改善のために訪れていた鍼灸で、鍼灸師の仕事に憧れを抱くようになりました。“自分が関わることで誰かが快適になっていくこと”に魅力を感じたんです。そして医療専門学校へと進学。社会人を経験してから学生になった私は周囲のみんなより出遅れているという焦りがあり、学生をしながらボランティアで経験を積ませてもらえる場所を探しました。それが母校の水泳部だったんです」 選手の筋肉疲労を取るマッサージを中心に経験を積んでいきます。そして専門学校を卒業後は鍼灸院に就職。就職してからも水泳選手へのサポートを続けていたところ、卒業生が大学生になると今度は大学側からも声がかかるようになりました。そしてこの頃、鍼灸院の患者さんと水泳選手に関わりながら、ターニングポイントに差し掛かります。