【訂正】『ブラックペアン』二宮和也の“バディ”と“ライバル” 竹内涼真&小泉孝太郎がS2の土台に
新病院の名称を“スリジエハートセンター”に勝手に変えようとする天城(二宮和也)。“スリジエ”とはフランス語で“桜(Cerisier)”という意味をもつ。しかし佐伯(内野聖陽)は病院設立に協力が欠かせない地元の関係者からの承諾を得る必要があると告げる。すると天城は、またしても“公開手術”を行うことを進言するのだ。 【写真】世良先生のときとは雰囲気違う? 竹内涼真の色気たっぷりなインタビュー撮り下ろしカット 7月21日に放送された『ブラックペアン シーズン2』第3話。オープニングタイトル(それも放送が始まってから20分以上経ってから登場するわけだが)には副題として引き続き「ブレイズメス」が充てられているが、今回からは『ブレイズメス1990』ではなくもうひとつの原作小説である『スリジエセンター1991』の内容へと進んでいく。第1話と第2話では前者の内容を一気に描いていたが、今回は後者の「第一部 春」の内容が描かれている。 2度目の公開手術にふさわしい患者を探すことになった天城。そのころ世良(竹内涼真)は、別の病院から転院してきてミンジェ(キム・ムジュン)が担当することになった狭心症の患者・梶谷年子(正司花江)に高度な技術を用いた手術が必要であると判断し、天城に提案。しかしあっさりと断られてしまい、世良は梶谷が生活保護受給者であることがその理由ではないかと考えるのだ。当の天城は、入院中の地元企業組合の理事・水野(梅沢富美男)に手術と“賭け”を打診。しかし水野は佐伯と対立する菅井(段田安則)が送り込んだ患者であった。 すっかり“公開手術”というやり方――そこに至るまでの患者探しから周囲との軋轢、そして手術を“見せる”という天城の技量の高さを広く知れ渡らせる一連が、このドラマの主たる部分として確立しつつある。多くの場合(というかほぼ確実に)限られた者しか立ち会うことのできない手術を公の、劇中で天城が言うように“ショー”として見せつける。しかも今回は、そこに時間制限を求めることによってよりその意味合いがさらに強められていくのだ。 もちろんそれらは原作に準じたものであるわけだが、先述した「第一部 春」の内容から院内政治にまつわるごたごたした描写を最小限までごっそりと削ぎ落とし、代わりに患者周りと公開手術に関する肉付けを付与することで、複数の登場人物にフォーカスを当て、連続ドラマの一エピソードとして成立させる。時間制限を原作の60分から30分に短縮したのは治験薬の効果によるものであり、それは治験コーディネーターの椎野(田中みな実)の役割を大きくする。また患者の息子(立川談春)に“賭け”と称して内部告発をさせることで水野を陥れ返すのは、今後激化するスリジエをめぐる争いに向けた軽いジャブのようなもの。 そして何よりも、世良と共同執刀というかたちで公開手術の時間短縮に挑むことによって、半ば強引な師弟関係のような状態の両者が“医師”として対等な立場にあることが示され、チーム感が増幅する。それは天城のやり方に懸念を示しつつも、彼の手腕を素直に認める高階(小泉孝太郎)の存在も然り。天城を中心に据えたいくつかの対立構造を浮き彫りにするだけでなく、彼に“良きバディ”と“良きライバル”を与えることは、ドラマの土台となる部分を確実に強固にしてくれるのである。 ※記事初出時、本文に誤りがありました。以下訂正の上、お詫び申し上げます。(2024年7月22日11:45、リアルサウンド編集部) 誤:ブライズメス 正:ブレイズメス
久保田和馬