T-BOLAN・森友嵐士、歌声を失ったミリオン歌手 復活への19年の道のり
“最後”の会場で19年ぶりの復活ライブ
その後、森友は懸命にリハビリに励み、その歌声を失ってから15年近い月日を経て、09年にソロとして音楽活動を再開。 14年3月には最後のライブとなった大阪・オリックス劇場(※当時は大阪厚生年金会館)で、19年ぶりの単独ライブを行う。 「いつも『T-BOLAN』という存在は頭の中にはあったんですけど、あまりに長い時間が経っていたし、何よりメンバーそれぞれの気持ちを確認したかったんです。3日間メンバーだけで過ごす機会をつくりました。一緒に過ごすことでそれぞれに答えを感じてもらいたかったんです。最後の日に、『T-BOLANどうしたらいい?』って聞いたら、答えは一つでした。『先の細かいこととか、どう発展するのかは分からないけど、もう1度ライブはやりたい』、『解散ライブでできてないし』と。ライブ1本だけだったら、みんな今のライフスタイルを変えなくてもできるし、まずはそれをやってみようか、と」
メンバーは家族のようなもの
こうして19年ぶりに“リベンジ”を果たした「T-BOLAN」は再びバンドを離れ、それぞれの活動へとT-BOLANにひとつマルを打つ。そんな中、ベースの上野博文がくも膜下出血で倒れて、生死の境をさまよったことをキッカケに、昨年8月に活動を再開。 今年3月には、かつて森友が夢をかなえるために海外へ旅立つスタッフとの別れの際に贈った『Bye For Now』を全国のファンに直接届ける企画「みんなで贈ろう『Bye For Now』未来の君のために!」を展開、インディーズデビューから30周年を記念して7月10日には東京・中野サンプラザで待望のバンドスタイルでの“ベストライブ”を開催するなど活動の幅を広げている。 最後に森友は「メンバーは家族のようなもの。命は永遠ではないことを実感しているし、人生は一度きり。今思うことを今、ゆっくりでいいから『T-BOLAN』というバンドの活動を生涯このメンバーで続けていけたらいいなと思います」と穏やかな表情で語った。 (取材/文・三杉武)