ハリス氏敗因は何か 専門家が分析 米大統領選
ハリス氏は、国境管理を強化する超党派の法案が提出されたにもかかわらず、政治的利益のためにトランプ氏が共和党議員への根回しで法案成立を阻止したと批判した。
最終的に、有権者が賛同したのはトランプ氏陣営だった。
■人口動態の変化
出口調査によると、ハリス氏は白人有権者の約40%、黒人有権者の80%以上、ヒスパニックおよびアジア系ではいずれも約半数の票を獲得した。
同じ出口調査では、トランプ氏は非白人有権者層に関しては、いずれも過半数を獲得していないものの、黒人有権者の支持は1桁台の伸び率を示し、ヒスパニックに関しては2桁台の伸びを見せた。これは民主党にとって非常に憂慮すべき傾向だ。
南カリフォルニア大学アネンバーグ・コミュニケーション・ジャーナリズム学部のロベルト・スロ教授は、「メキシコ系米国人男性、福音派、大学教育を受けていない労働者階級の間で、トランプ氏は着実に支持を伸ばした」と指摘した。
また、こうした傾向は「地理的には、メキシコ国境沿いや新たな移民流入の影響をダイレクトに受けた場所でも見られる」と付け加えた。
今回は、人工妊娠中絶の権利が主要な争点であったにもかかわらず、トランプ氏はすべての予想に反し、2020年よりも女性および若年層の支持も伸ばした。
■遅きに失した出馬
今月82歳になるバイデン氏は、6月のトランプ氏とのテレビ討論会で失態を演じ、党内からの強い圧力を受けて撤退を表明した。
直ちに後任候補の役割をハリス氏が引き継いだが、後れを取った選挙運動を立て直すために残された時間はわずか3か月しかなかった。
バージニア大学の政治学者ラリー・サバト氏は、「民主党の惨敗の責任の多くはバイデン氏にある。80代で再選を挑むべきではなかった。最終的には、ハリス氏に代理の短期決戦を任せることになり、時間が足りなかったことが証明された」と述べた。
■バイデン氏との差別化
ハリス氏は、支持率が低下していたバイデン氏との差別化を図るのに苦戦を強いられた。