東京は8年連続3位「世界の都市総合力ランキング」GDP成長率低く賃金水準ダウン
森ビルのシンクタンク「森記念財団都市戦略研究所」が「世界の都市総合力ランキング」2023年版を発表した。 2008年より発表されて今年で16年目になる「世界の都市総合力ランキング」。経済学者で同研究所所長の竹中平蔵氏は、冒頭で「16年の間に都市ランキングの淘汰もありまして、その意味でこのランキングは世界の中でも高い評価を受け、日本の政策決定のKPI(重要業績評価指標)を命じられるようになった」などと説明。 「ランキングを始めた時は4位だった東京が3位になって、今回は上にいくのか下にいくのか。当然順位だけではなく、それを構成している要素や総合的なスコアがどうなっているか見ていただきたい」とし、「とりわけ日本の場合は残念ながら経済が停滞していると言われ、特にコロナや円安という要素がこのインデックスの中に現れてきている」と呼びかけた。
主要な48都市について「経済」「研究開発」「文化交流」「居住」「環境」「交通アクセス」の6分野23指標グループ、70指標で評価する「世界の都市総合力ランキング」。1位はロンドン、2位はニューヨーク、3位は東京、4位は僅差でパリ、5位はシンガポール。東京の3位は8年連続。 トップ7都市まで順位の変動はなく、ドバイが初のトップ10入り(8位)、上海がトップ10から外れた(15位)。直近10年の総合スコアを見てみると、1位のロンドンは昨年ダウンしたが今年アップ、ニューヨーク・東京・パリの各都市は今年ダウンしており、都市によってコロナ明けの結果に違いが出ているという。特に東京の弱点は経済分野で、今回は過去最低の10位まで転落した。
東京は国際コンベンションの数や外国人訪問者が増え、なおかつ円安のおかげで物価水準が下がる一方でワークプレイスは少なく、GDP成長率は依然として低い(47位)。賃金水準の高さでもスコアを落とし、経済分野が10位まで後退した。特徴は6分野のスコアがバランスしており、ロンドンの文化交流やニューヨークの経済・研究開発といった明確な強みがないことだという。 また、金融分野の14指標を評価した初の試み「金融センター」ランキングは1位ニューヨーク、2位ロンドン、3位東京、4位北京、5位上海。東京は「大手保険会社本店」「世界トップ年金ファンド」の2指標でトップだった。明治大学名誉教授で同財団理事の市川宏雄氏は「東京は世界から非常に注目されているが、問題はそれをどう東京が受け止めるか。私は以前から東京は世界で1位、2位を取れる都市だと思っているが金融の指標を入れるとまた下がってしまう」と感想を述べた。