【大人気】解体寸前の歴史的建造物を復活…公園の一角にたたずむ庄屋屋敷レストランで味わうフレンチ(浜松市)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
浜松市中央区中郡町にある、万斛庄屋公園。2024年3月に完成したばかりのまだ新しい公園ですが、その一角には歴史情緒たっぷりの古民家が。実は「鈴松庵」という名のレストランで、今ここが大人気なんです。 (利用客は) 「おいしかったです」 「徳川家康さんの側室の阿茶の局様がこちらの方にお住まいになっていたと」 何やら歴史がありそうな建物ですが、実は、このレストランがオープンする前には、解体の危機もあったのです。エブリーライフは、歴史的建造物を解体寸前から復活させた、地元の熱い思いと、ここで食べられる絶品料理を紹介します。 完成したばかりの万斛庄屋公園。ここは、この辺りで地位の高い庄屋だった旧鈴木家の跡地で、江戸時代には徳川家康とのつながりも深く側室である阿茶の局は、この旧鈴木家に預けられていたという由緒正しい場所なんです。この土地は、2010年に地権者から浜松市に寄贈されましたが、その時は、すでに誰も管理をしていなかったため、建物なども大きく痛んでいたといいます。その当時からこの旧鈴木家を残したいと、活動していた村木さんに話を聞くことに。 (NPO法人旧鈴木家跡地活用保存会 村木 正彌 理事長 ) 「鈴木家の屋敷は元々…」 (永見佳織 アナウンサー) 「この敷地全部旧鈴木家の土地なんですか?」 (NPO法人旧鈴木家跡地活用保存会 村木 正彌 理事長 ) 「これ全部、竹やぶになってしまった。中の様子が見えなかった。」 長い間、住む人がいなかったため、木々も荒れ放題になっていた旧鈴木家。その様子を見た村木さんと仲間たちは、木々の伐採を行い、ここの手入れを始めました。 (NPO法人旧鈴木家跡地活用保存会 村木 正彌 理事長 ) 「何としても残すんだと。建物を。六百数十年続く当時浜松藩の第1位の庄屋ですよ。ここが。こんな立派なものは残さなきゃ、だって地域の誇りじゃないですか」 しかし、長年放置されたことで建物の老朽化はひどく、土蔵や納屋は崩落の危険があるため、市によって撤去され残された母屋や離れも、市民の力だけでは維持・管理が資金的にも難しかったため、一時は、全て解体される危機にもありました。すると、2017年に、そのピンチを救う国の制度がスタートしたのです。それが「Park-PFI事業」。 (浜松市花みどり担当部長 中村 浩一さん) 「ParkPFIというのは、正式に言いますと公募設置管理制度というちょっと難しい名前ですが、市だけがやってきた公園の整備を民間にゆだねることで、民間ならではのサービスやノウハウがいきます。一方、事業者の側からしますと、そこで商売ができるわけですから、企業の収益だったり収益にかかわらず、企業側のメリットこれも実現できるということで、行政も民間もウィンウィンの関係になる」 このParkPFI事業に賛同し、旧鈴木家の敷地を公園にする事業者に選ばれたのが、電気工事を専門とする地元浜松の松川電気です。旧鈴木家跡地の整備を松川電気が行い、みごとに万斛庄屋公園として生まれ変わりました。ボロボロだった弓道場もご覧の通り。実際に利用することもできます。そして、解体寸前だった母屋もキレイにリノベーションされ、古民家レストランがオープンしました。旧鈴木家の「鈴」、そして松川電気の「松」をとって、「鈴松庵」と名付けました。松川電気の小澤社長に古民家レストランの店内を案内してもらうと…。 (松川電気 小澤 邦比呂 社長) 「時代を超えてきたような、タイムスリップしているような感覚になります。昭和の初期の建物そのままに残しています。あるものをすべて使って、残すというのが我々の趣旨なのでそうしています」 ガラスは波を打ったガラスなので、陽炎があるような形に見えますけど、今では製造していないので、大変(貴重)なガラスなんですね。窓の外に見える、木々や灯篭も当時のまま。徳川家康もここを歩いていたかと思うと、感慨深いものがあります。小澤社長に、この建物を守ることにした理由を聞いてみると。 (松川電気 小澤 邦比呂 社長) 「ここの地域を守っていきたい。この建物を守っていきたい。我々は、地域貢献活動を通じて地元に恩返しをする、そういうことを常に思っています」 地域への恩返しの思いも込めたレストラン。品格の高い建物ということもあり料理にも強いこだわりが。和と洋の2人の腕利き料理人を連れてきたのです。洋食担当は元グランドホテル浜松の料理長、青山兼久シェフ。和の担当は元オークラアクトシティホテル浜松料理長の坪井俊寿シェフです。浜松の2大巨匠が、タッグを組み提供するのは絶品フレンチ。 これはランチメニュー(Bセット)お肉と魚料理を選べ、前菜にスープ、デザート、ドリンクまでついて3200円です。前菜は目にも鮮やかな4種。どれも季節を彩る繊細な逸品です。そして、永見アナはお肉料理を選びました。 (永見佳織 アナウンサー) 「いただきます。ん~おいしい。オーブン焼きなので、表面は少しカリっと焼かれていて中はもうほぼ口の中に入れた瞬間に、とろけるんじゃないかというぐらいやわらかいです。で、最後い上質の脂が口の中に広がっていく」 さらに、気軽にいただけるスイーツも絶品です。歴史を感じる空間でタイムスリップした気分でいただくことができます。 (松川電気 小澤 邦比呂 社長) 「素晴らしいものをできるだけ提供したい。そしてそれを食べて味わってもらった人たちがやはり幸せをつかんでもらって帰ってもらいたいというのが私の思いです」