【ONE PIECE考察】次の“D”候補は海賊ではないあの人物? “D”が持つ真の意味を紐解く
※本記事は『ONE PIECE』最新話の内容に触れる部分があります。連載を未読の方はご注意ください。 『ONE PIECE』の物語のキーとされる、名前に“D”がつく者たちの存在。主人公であるモンキー・D・ルフィもその1人であり、度々描かれるDがつく者の登場は読者に衝撃を与える。 そしてエッグヘッド編では、ロビンの師ともいえるクローバー博士もDの一族だと判明し、大きな話題に。そこで今回は、Dの持つ意味やまだ明かされぬD候補について、ワンピース研究家の神木健児氏に話を聞いた。 「エッグヘッド編終盤で、クローバー博士がDの一族であると明らかになりました。これまでDの一族が登場すると非常に驚きがあり、個人的には数百万人、数千万人に1人くらいの珍しさだと思っていたんです。もちろん世界の重要人物ではあるんですけど、クローバー博士がDの一族だと言われると、もうそんなに珍しいモノではないのかなと思えてきますよね。それこそ、普通に生活をしている市民のなかにも、想像以上にDの名を持つ人物はいるのではないでしょうか。ローの本名が明かされたとき、“隠し名”、“忌み名”という概念が登場しました。エッグヘッドでは、ベガパンクが配信にてDの一族に言及しています。隠し名とされているからこそ表立ってはいなかったものの、一般市民でもDを持つ人物自身は、自分の名前に興味を持つでしょう。Dを隠し名としたのは、世界政府から標的にされるのを防ぐためか。クラウ・D・クローバーの登場によってDの一族が想像以上に存在する可能性が高くなってきましたが、ここが隠し名の存在意義と繋がってくるのかもしれません」 ある理由から、“D”が持つ意味は血筋ではないと感じると神木氏は続ける。 「作中では、そもそも“D”が何を意味しているのかも判明していません。私としては、血筋というよりも仲間の証、称号のようなモノだと思っています。Dの一族の末裔は、外見や故郷、身分などあまりにも統一性や共通点がないように感じます。コブラの発言で、アラバスタの王家であるネフェルタリ家もDの一族であると明かされました。しかしネフェルタリ・D・リリィが20の王家側で戦っていたのは間違いなく、実際に20の王家側が勝利しています。その戦いの後に、リリィはジョイボーイ側の人間としてポーネグリフを世界中にばら撒いている。20の王家側からジョイボーイ側に寝返ったネフェルタリ家にDがついているなら、やはり後からつけられる称号だと考えるのが自然ですよね。世界初の海賊であるジョイボーイが率いた海賊団のクルーの証が、“D”なのではないでしょうか」 リリィが20の王家から巨大な王国に寝返っていたとしたら、その逆も発生していた可能性は十分にあるだろう。 「20の王家と巨大な王国は、非常に壮大な戦争を繰り広げていたと思います。大きな戦いであったのならば、寝返っていたのがリリィだけとは思えませんよね。それこそ、巨大な王国から20の王家側に寝返っていた人物もいたかもしれません。仮にその候補を挙げるなら条件は、現在世界政府側にいる人物で、権力を持ち、戦力になる強さがあり、名前にDがつかない異質な存在といったところでしょうか。そう考えると、個人的には“フィガーランド家”の名前が浮かびます。もし本当にフィガーランド家が20の王家に寝返った存在なのだとすれば、ガーリング聖はもちろん、シャンクスも先祖を辿ればDの一族だったことに。彼の世界政府側の人間としての面と、大海賊としての面の二面性には、そんな事情があると考えると納得できる部分はありますよね」 未発表のD候補について、神木氏は海賊ではない意外な人物の名前を挙げた。 「エッグヘッド編でクローバー博士がDの一族だと判明し、これまでにも何度かすでに登場しているキャラクターがDの一族だと明かされる展開がありました。クローバー博士で終わりだとは思えず、今後も既存の重要キャラが実はDの一族だったと判明することはあるでしょう。やはり普通ではない気概を持った人物が、Dの一族であるイメージがありますよね。そう考えると、コビーは非常にDの一族っぽいと感じます。もちろんコビーは努力で超人級の成長を遂げたことが最高なのですが、正義感や誠実さはやっぱり普通ではないです。願望も込みで、コビーがDの一族だったらものすごくワクワクします。他にファンの間では常に再登場説が囁かれているエネル、強い目的を持ち行動するクザン、そしていまだに素性がベールに包まれているウルージなども怪しいですよね。最悪の世代は本当に1人1人がフィーチャーされ、ついにエッグヘッド編ではボニーがメインキャラに踊りでました。ここまでくると、1人だけ何もないのも違和感があります。彼にも、物語の根幹に関わる素性、過去があるのかもしれません」 思想も行動も異なるDの一族だが、彼らの行動が『ONE PIECE』の世界に大きな影響を与えるのは間違いないだろう。“D”が呼ぶ嵐を、心待ちにしたい。
青木圭介