グッドイヤーの新型タイヤ「EAGLE F1 ASYMMETRIC 6」最新の深化を試してみた【試乗記】
クワイエットラグジュアリーなタイヤ
一般道でのアシメトリック6試乗に関しては、新旧比較は敵わなかったものの、3つの異なるキャラクターのクルマを試乗できた。いずれも終始乗り心地は良好で、ギャップの激しい突き上げをスルーしても不快感はなく、スポーツタイヤというほどガチガチといった固さはなく、優れた乗り味に終始したのだった。 ドライ性能の向上とともに、ウェット性能も引き上げているというアシメトリック6の“触れ込み”どおり、優れたパフォーマンスの向上ぶりを体感できた今回。ハガキ1枚分のタイヤ設置面にもかかわらず、このような性能アップを比較試乗で試せるのはとても面白い。 目を三角にしながら走るスポーティな場面でも、高いグリップや操舵感に加え、タイヤノイズも少なくリッチな乗り味だった。そして、何よりウェット路面でも、安心して走れる信頼感。パフォーマンスをひけらかさない様は、まさにファッション界のトレンドとなっているクワイアットラグジュアリーな世界観とでも例えよう。スポーツとコンフォタブルの一挙両得を目指す、プレミアムな乗り味は、是非とも愛車の足元に加えたい。
“すべてをあきらめない”モータースポーツ由来のタイヤ
1898年に創業されたグッドイヤーは、フォード社の創始者であるヘンリー・フォードが、1901年のカーレースに参戦した際に、レース用のタイヤを提供したことでも知られている。モータースポーツとの関わりがまず根底にあると言っていい。 「グッドイヤーは、モータースポーツで培った技術を市販車に転用していくことを目的にレース活動をしていますが、これは技術だけでなくクルマに対する考え方も同じです。例えば、FIA 世界耐久選手権(WEC)におけるGT3やLMP2といったカテゴリーは、タイヤのスペックが極端に少ない。だからこそ、プロでもアマチュアでも、どんな人が運転しても同じようにパフォーマンスを感じられるように設計しています」とは、グッドイヤー マーケティング担当の高木氏。 「イーグルF1 アシメトリック6の“READY FOR ANYTHING”(すべてをあきらめない)というコンセプトには、そんなグッドイヤーのタイヤ哲学が反映されているんです」 グッドイヤーは2019年からFIA世界耐久選手権(WEC)を皮切りに、今年はWECに新設されたLMGT3カテゴリーの全車にタイヤを単独供給。2021年の電動ツーリングカー選手権(ETCR)といった、世界の主要な大会に多く参戦し、活躍の場を広げている。それら最前線で競い合うレースの現場のフィードバッックがまさに市販タイヤづくりに活用されているのだ。 そして、2024年11月4日に決勝を迎えたバーレーンでのWEC最終戦。ポルシェやフェラーリなどのさまざまなハイブランドが競いあう熾烈な戦いにも注目が集まった。これから繰り広げられる激戦においても、グッドイヤーのタイヤがさらなる活躍を見せてくれそうだ。
TEXT=坂本遼佑