「負動産」問題が深刻化 バブル期の原野商法の土地 子どもが相続したときの選択肢 相続土地国庫帰属制度
「負動産」問題が深刻化
相続や遺贈で土地を取得した人が、負担金を納付することで土地を手放し、国に帰属させることが出来る「相続土地国庫帰属制度」。「バブル期の原野商法で土地を購入し、値上がりが見込めないため、子どもたちが相続したときどうしたらいいか」と法務局に相談に来る人もいるといいます。 相続や遺贈で取得した土地の使い道としては、自分で住むか、誰かに貸すなどして活用することや、立地がよければ、売却先が見つかり、お金に換えることもできます。しかし、土地が遠方に存在し、売却先や借主が直ぐに見つからないなど、使い道に困ることも考えられます。 使い道がなく、所有者の負担感が増加し、そのまま放置されて土地が荒れ果て「管理不全化」する「負動産」問題が深刻化していたことから、国は、相続や遺贈で土地を取得した人が、負担金を納付することで土地を手放し、国に帰属させることができる「相続土地国庫帰属制度」を2023年4月27日にスタートさせました。
相続放棄との違いは?
相続した土地を手放す手段としては、「相続放棄」という選択も考えられます。 「相続放棄」は、相続の開始があったことを知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申し立てて、被相続人の権利や義務を一切受け継がないことにする手続です。これによって不要な土地の相続を行わないことも出来ますが、相続放棄は「不要な土地」だけでなく、「預貯金や株式など全ての資産の相続権」も失うことになります。 一方、「相続土地国庫帰属制度」は、相続又は遺贈によって宅地や田畑、森林などの土地の所有権を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、1筆の土地ごとに手放して国に引き渡す(国庫に帰属させる)ことができる制度です。 名古屋法務局によると、制度の申請件数は全国でのべ2481件(2024年7月31日の時点)、帰属件数は667件(宅地:272件、農用地:203件、森林:20件、その他:172件)で、愛知県内の申請件数は半数ほどが農地を占めているということです。 利用者は、60代~80代が中心で、「固定資産税などを考え、売却を考えたが売ることが出来ず困っていた。」「引き取り手が国なので安心した。」などの声があったということです。 また、「バブル期の原野商法で土地を購入した。値上がりが見込めないため、子どもたちが相続したときどうしたらいいか」と自分が死んだ後のことを考えて法務局に相談に来る人もいるといいます。