YouTube席巻「散歩動画」の誘惑 性的コンテンツとしてGoogleが一部利用停止
動画の構成を見れば、投稿者が訴求したい内容が「散歩」よりも「ノーブラ」にあることは明白だ。もっとも、規制にかからないぎりぎりの線を狙うのも古来、芸術的表現の一形態であり、運営側がこうした表現の自由を尊重した結果かどうかは定かではないが、事実としてノーブラ散歩は野放図に増殖し続けた。
こうした現状に対し、ユーチューブを運営するグーグルは、一部投稿者の動画がコンテンツに関する規約上の「性的満足を与えることを意図した露骨なコンテンツ」にあたると判断。ノーブラ散歩に関連し、これまでに数人のアカウントを停止したことを産経新聞の取材に明らかにした。
ユーチューブのガイドラインには「着衣、非着衣を問わず、性的満足を目的とする性器、胸部、臀部(でんぶ)の描写」を含む動画は利用規約に違反する、とある。グーグルはこれに該当すると判断した動画については今後もアカウント停止の措置を取る方針だ。
もっともユーチューブ上ではなお多数のノーブラ散歩動画がアップされており、規制が追いついていないとみられる。
■わいせつか否か
ノーブラ散歩動画は果たして「わいせつ」なのか。甲南大の園田寿名誉教授(刑法)は「わいせつ動画ではない」との見解だ。園田氏によると、これらの動画では胸部は衣類で隠され、乳房が露出しているわけではないため、公然わいせつ罪やわいせつ物頒布罪などには当たらず、また軽犯罪法(身体露出の罪)にも抵触しないとの立場だ。
一方、近畿大の鞆(とも)大輔教授(情報倫理)は、刑法上のわいせつの概念に当たらないとしても、一定の規制は必要だと指摘する。「幅広い世代が親しむサイトである以上、運営側は可能な限り、時代の価値観に沿った健全な環境を維持する必要がある」
例えば、閲覧に際して年齢制限などフィルタリングを設け、子供の目にとまりにくくする対策が有効と指摘した。