ハードル高い日本企業決算、投資家の失望招く恐れ-コストアップ注意
(ブルームバーグ): これから本格化する主要3月期企業の決算発表では、投資家による事前の高い期待値を下回り、多くの銘柄が失望売りにさらされる恐れがある。
ブルームバーグが集計したデータによると、アナリストは東証株価指数(TOPIX)構成企業の12カ月先の1株当たり純利益(EPS)を173円程度と予想。これは、さかのぼることが可能な2005年以降で過去最高だ。企業決算に対し投資家が期待するハードルが以前よりも上がっていることを示す。
最近の日本株市場では、会社側が発表する今期の業績計画がアナリストのコンセンサスを下回ると、株価が大きく下げるケースが相次いだ。小売り大手のセブン&アイ・ホールディングスが最たる例だ。
7&iHDは前期(24年2月期)の営業利益が従来計画を上回ったほか、成長事業と位置付ける海外コンビニエンスストア事業に投資を集中させるため、イトーヨーカ堂などスーパー事業の株式上場の検討開始を発表したものの、今期の営業利益計画がアナリスト予想の平均を下回り、株価は9カ月ぶりの下落率となった。カジュアル衣料の「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングも第2四半期の営業利益が予想に届かず、急落した。
7&iHD株が続落、今期営業利益見通しは市場予想に届かず
ファストリ株続落、第2四半期営業益は市場予想下回る-中国販売不振
東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは「企業業績は上向くとは思うが、期待していたほどとなるかは難しい」と指摘。「24年度があまり良くないとなると、株価は調整するリスクがある」とみている。
日本株はデフレ脱却や円安、株主還元策などを材料に23年以降に世界で最も好調な株価パフォーマンスとなっている。ただ、日銀がマイナス金利政策を終えたほか、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが市場の予想より遅れるのではないかとの観測が広がり、上昇傾向はここ数週間で停滞している。