石破茂・元防衛相のガチトーク「もし私がUFOと戦わば」増加する未確認飛行物体の領空侵犯を憂う
5月28日の発起人会に続き、6月6日に国会内で、「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」議員連盟の設立総会が開催されたのは、フライデーデジタルでも既報の通り。 【画像】怖い……!水中を浮遊する赤い目の「エイリアン」は実在していた! 近年、米国防総省内で未確認飛行物体(UFO)をはじめとする未確認空中現象(UAP)調査機関「AARO(全領域異常対策室)」が設立されたことを受け、日本国内のUFO・UAPに関する情報収集をする部署を設立するのが目的だという。 ただし、UFO・UAPといっても、それはSF映画に出てくるような「地球外生命体の乗り物」ではない。主に他国の新兵器を含む飛行物体を意味する。現にAAROの主な目的は中国・ロシアなどの米国の仮想敵国の最新兵器に関する調査だ。件(くだん)の議連は「UFO議連」などと揶揄されたが、会長は浜田靖一前防衛相(68)。次期総理大臣候補として世論調査で国民人気ナンバーワンの石破茂元防衛大臣(67)も参加している。 ’07年に石破氏は記者会見で「UFOやそれを操る生命体が存在しないと断定する根拠がない」と発言しているが、議連まで立ち上がったいま、どう考えているのか。改めて本人に問うた。 ◆領空侵犯か治安出動か……対ゴジラより難しいUFO対策 「宇宙からしたら人類の歴史は瞬きする瞬間なみに短く、『地球以外に生命が存在しない』という考え方は傲慢でしょう。’07年に故・町村信孝元官房長官は『UFOは絶対にいる』と発言しました。’18年2月27日に政府は『地球外から飛来した未確認飛行物体について、確認したことはない』という答弁書を閣議決定しましたが、『存在しない』とは断定していません」 そう存在を否定しない石破氏だが、ご自身は「UFOやUAPを目撃した経験はない」とも言う。 元防衛大臣として、未知の飛行体が日本の領空を侵犯した場合、自衛隊をどう動かし、どのように対処するのかを問うと、石破氏はよどみなく答えた。 「届けを提出していない外国籍の航空機が我が国の領空を目指してどんどん近付いているなら、領空侵犯措置で対処します。航空自衛隊が(領空に入らないように)進路を変更するよう指示します。領空に入った場合は退去を命じ、従わない場合には強制着陸を促します。ここまで至ると武器の使用が可能ですが、基本的には威嚇射撃までです。 進路変更、退去、着陸を促す過程で、相手が何らかの武器を使って攻撃してくる場合は正当防衛・緊急避難としての武器の使用が可能となる。(反撃により)相手に危害が加わったとしても許容されます。もちろん、攻撃の態様によっては、我が国の自衛権の行使として自衛隊法76条に基づく防衛出動で対処する場合もありえます」 未知の光線を発射されるなど、武器による攻撃かどうか判断がつかない場合は、自衛隊にどんな指示を出すのか。 「空には警察がないから、まず航空自衛隊が領空侵犯措置で対処するわけですが、未知の飛行物体の行動によって対処は変わりますよね。領空侵犯措置で退去してくれなかった場合、治安出動を下令して少し烈度の高い警察活動として対処することも可能ですし、我が国に対する急迫不正の武力攻撃と認定すれば、防衛出動となります。条文上の根拠、法的権限、武器の種類については、その状況状況で判断するしかない。ゴジラの襲来より複雑かもしれません。ゴジラなら害獣駆除として災害派遣で対処できますから」 災害派遣であれば、戦闘機や戦車を出しても法的に問題はないと石破氏は言う。 石破氏はAAROのような専門機関の設立については「防衛省があるのに、わざわざ新しく設立する必要があるのか」と疑問視している。「UAP議員連盟」の米国防省のAAROとの情報交換・連携についても「議連に入っている各議員の裁量ではないか」という見解だ。石破氏は、「どのような脅威かわからないものであるからこそ、国民の命を守るためのシェルターの整備が重要です」と付け加えた。 これまで、UFOはオカルトや都市伝説の一種であったし、それはアメリカにおいても同じだった。だが、軍事技術の飛躍的進歩により、各国政府が把握していない飛行物体が現実に領空に侵入するようになった。アメリカにおける気球騒ぎは記憶に新しいところだし、さまざまな形態のドローンが数限りなく開発されてきていることを考えれば、中国、ロシア、北朝鮮といった国々と隣り合う我が国において、その脅威は全く他人事ではない。そういった現実的な安全保障上の脅威の延長線上に未知の生命体の脅威を捉えなおすべきなのかもしれない。 その例として、石破氏は三島由紀夫の長編SF小説『美しい星』を挙げた。『美しい星』は東西冷戦時代の核兵器による人類滅亡の可能性について、地球外生命体の視点から見た物語だ。 「日本人にはともすると『見えなければ存在しないのと一緒』という単純な感性があるように思います。人類は知っていることより知らないことのほうが多いという現実を直視し、脅威についての先入観を取り払うべきです 」 対UFOに限らず、あらゆる可能性に臨機応変に対応できるような防衛体制を整えることは、日本にとって有益であると石破氏は語るのであった。 撮影・文:深月ユリア
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