牧野知弘 デベロッパーが外国資本による<高額マンションの買い占め>を歓迎している理由とは…「晴海フラッグ」が売れているウラ事情
◆さまざまな背景 「晴海フラッグ」の建設地は、元は東京都の土地です。 通常、自治体やUR(都市再生機構)などが所有する土地に、マンションなどの住宅が分譲される場合、一定期間の転売禁止や、申し込みにあたって1者1住戸のみ、などの規制を設けることが多いのですが、なぜか本件については野放し状態でした。 分譲戸数がきわめて多く、当初は多くのデベロッパーが引き受けに尻込みしたとも言われる「晴海フラッグ」。 裁判沙汰にまでなった東京都からの廉価な土地譲渡と、規制のないフリーな分譲許可など、さまざまな背景があったのです。
◆金余りの金融機関 不動産価格が一方的に上昇する時には、その波に乗ろうと、多くの業者や投資家が群がります。 その後押(あとお)しをするのが、金余りの金融機関です。 金融機関にとって、不動産融資は一度に多額の融資ができる、言わば打ち出の小槌(こづち)です。 実は、マンションの高騰を支える大きな要因の1つが、このような業者による転売目的の購入です。 こうした土地転がし、マンション転がしの宴(うたげ)はいつまでも続くものではないことは、バブル崩壊時に証明されているのですが、あの時代のことを記憶する人が60歳を超えるなか、宴は延々と続いています。 ※本稿は、『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。
牧野知弘
【関連記事】
- 牧野知弘 東京23区新築マンション平均価格は前年同期比で6割以上上昇。今や「億ション」が当たり前…<中古でも1億円超え物件>は23区にどれだけあるか
- 牧野知弘 もはや短絡的に「都心部のマンションは必ず値上がりする」という結論にならない…それでもマンションを所有するならどのエリアがいいか
- 「沿線格差」の頂点!?路線が長くもなく観光地もない東急電鉄が「セレブ路線」として扱われるようになった背景とは…戦前から貫かれる<東急グループの基本戦略>
- 創業期から沿線開発に熱心でビジネス意識に富んだ「小田急電鉄」。沿線環境の豊かさに加えて、箱根観光の楽しさも活動の重要な要素に
- いっけん地味?でもあなどれない実力「京王電鉄」。雰囲気の違う系統が、同じ沿線になった理由とは…その歴史を太平洋戦争まで遡る