“毒親”がこんなに!? 今春の注目作から考える。子どもはいかに育つのか、いかに感性や存在を殺されるのか
犬たちと罪を犯しこそすれ、困った人たちに乞われて町の悪党を退治する、ある種のヒーローとも呼べる人間に成長したのも、間違いなく犬たちとの互いに互いを信頼し合い、リスペクトし、阿吽の呼吸で気持ちを汲み取り合う深い関係性ゆえ。 ちなみに多数の犬がダグラスの合図で次々に悪党を退治するシーンは、たまらなく痛快です。そしてラストは……想像を超えた切ないものでしたが、尊厳を失わないダグラスの生きざまを深く感じてください! 3月8日(金)新宿バルト9ほか全国公開 2023年/フランス/1時間54分/配給:クロックワークス 脚本・監督:リュック・ベッソン 出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズほか ※DOGMAN ドッグマン 公式HP あり
『パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ』
Story & Introduction 母親から育児放棄されたヤジッドは、温かな里親家族の元で過ごす時間が安らぎ。特に手作りのデザートを食べるのが楽しみで、いつかパティシエになることを夢見るように。やがて青年となった彼はパリから遠く離れた児童養護施設で暮らし始めますが、パリの高級レストラン見習いのチャンスを手にします。時に野宿をしながら180キロの道のりを通い、必死に学び続けるのですが――。なんと22歳でパティスリー世界選手権チャンピオンに輝いた天才パティシエ、ヤジッド・イシェムラエンの実話の映画化。 ヤジッドの母親も決して悪い人でも、息子を愛していないわけでもなく、友人も多い。ただ、報われない人生に拗ねているというか、貧しい境遇や男に裏切られた哀しさや不満や鬱憤を、お酒で晴らそうと依存症になっているのです。そうなると、すべてが悪循環に。 息子や里親家族に後ろめたさがあるからこそ、汚名挽回を狙って勢い余り、いつも上手くいかず裏目に出てしまう……。でも、せめて“叶えたい夢”を見つけた息子を邪魔しないであげてよ……と思わずにはいられません。 期待しては何度も母に裏切られてしまうヤジッドは、酔っ払った母が里親の家に迎えに来ても隠れてしまう状態ですが、それでもやっぱり“母への愛情”は消えないし、誰よりも認めて欲しい、喜んで欲しいのも母なんです。それが、また切ない!