快進撃続く広島ドラゴンフライズ…創設10年目、クラブの歴史を知る三遠・大野HCも称賛「魅力的なチームになった」
中地区王者に粘り勝ち、初のベスト4進出
一番乗りでセミファイナル進出を決めたのは、広島ドラゴンフライズ。「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24」のクォーターファイナルで中地区王者の三遠ネオフェニックスから2連勝を収め、クラブに新たな歴史を刻んだ。 5月11日、まずは重要な初戦を77-70でものにした。2年連続でワイルドカードでのチャンピオンシップ出場となった広島にとって、ここまでは昨シーズンと同じ状況。1年前はここから千葉ジェッツに連敗してシーズンを終えた。 5月12日の第2戦も負ければ終わりの三遠に第3クォーターにペースを握られ、第4クォーターを前に5点ビハインド。豊橋市総合体育館のボルテージも上がり、このまま三遠が押しきるかと思われた。だが、制したのは広島だった。昨季の経験のみならず、今シーズン培った粘り強い守備で1年前の壁を越えてみせた。 「昨シーズンCSに出場できた経験は本当に糧になっていると思います。去年は千葉さん相手にまず我々が1勝しましたけど、そこからしっかりとカムバックされてしまった。その経験を今日の試合前にも選手たちには伝えましたし、『GAME1に勝った状況でもいいメンタルを保って、出だしから自分たちのやるべきことを集中してやろう』と話して試合に臨みました。今日の出だしも素晴らしかったですし、本当に選手たちが40分間戦い抜いてくれました。『自分たちがやり続けることで相手に何らかのほころびが出てくる。我慢強くやり続けよう』とも言い続けていましたし、第4クォーターにもミスを誘発でき、そこからいい流れに持っていけたことで勝利することができたと思っています」 昨年のクォーターファイナル第2戦は立ち上がりで16-33とされ、そのまま完敗を喫した。しかし、カイル・ミリングヘッドコーチが言うように、今回のGAME2は第1クォーターで2点リード。ニック・メイヨが2つのファウルを取られるも、ベンチスタートの船生誠也、ケリー・ブラックシアー・ジュニアがつないで最初の10分を乗り越えた。 追いかける状況となった第4クォーターでは、大事な場面で三遠のサーディ・ラベナがパスミスを犯すと、直後の攻撃でドウェイン・エバンスのキックアウトから山崎稜が3ポイントシュートを決めて逆転。残り2分43秒の失点以降は相手にが得点を許さず、69-66で歓喜の瞬間を迎えた。 「最後まで自分たちらしいバスケットができた」。エバンスと中村拓人は口をそろえて勝因を述べた。計18得点を挙げたエースの働きに加え、ディフェンスでも相手のチャンスを阻む3つのスティールを奪ったエバンスはこうも話した。 「アイザイア・マーフィーのスタッツには見えないような活躍もあった。本当にみんながアグレッシブにプレーしながらも冷静さを保って最後まで戦い抜けたと思います」 今季B1トップの平均89.5得点をマークした三遠を、2試合とも70点以下に抑えての2連勝。指揮官は「言葉にならない本当にいい試合だった。選手たちが今まで積み上げてきたもの、犠牲にしてきたものが今日しっかりと報われたと思いますし、彼らの努力を讃えたい」と選手たちをねぎらった。