映画「変な家」出演!、唯一無二の俳優・佐藤二朗さんインタビュー
さまざまな作品からのオファーが絶えない、唯一無二の俳優・佐藤二朗さん。2024年3月15日公開の映画「変な家」で設計士を演じる佐藤さんに、作品の見どころや役への思いを語ってもらった。
『変な家』
YouTubeの動画が再生回数1600万回を超え、書籍化されるや80万部の大ヒットし映画化したのが本作。オカルト専門の動画クリエイター・雨宮(間宮祥太朗)のもとに、ある一軒家について相談がくる。その家の間取り図の違和感について、ミステリー愛好家の設計士・栗原(佐藤二朗)に意見を聞いてみると……。
演じるのが大好きって、顔に書いてある。ちょっとクセモノからまっすぐな普通人まで、この人が演じると血が通う。 「共演者と共鳴できたとき、俳優って仕事はおもしろいなって、ゾクゾクしますね。相手役がこうくるから、僕はこう返す。僕がこうやるから相手役はこうくる。そして一緒に高みへ昇っていく。今回も雨宮を演じた間宮祥太朗と、そういう最高の瞬間がありました」
間宮さんとW主演を務めた映画『変な家』は、かなりの話題作。もともとは、YouTubeの一本の動画。再生回数が異様に伸びて書籍になり、原作の争奪戦を経て映画になった。 オカルト専門の動画クリエイター・雨宮が、ある一軒家の間取り図を手に入れたことから物語は始まる。“何かが、変”と相談を受けるのが、佐藤さん演じる設計士・栗原。ミステリー愛好家でちょっと変人、という設定だ。 「ちょっと、というのがキモなんです。そのさじかげんを間違えてこんなヤツいねえよってなった瞬間、お客さんはマッハの速度で引いちゃう。こういうヤツもいるかも、と思わせないと。栗原にかぎらず、わりと僕、気にしているところです、どんな役をやるときも」 ちょっと変、は、本作のテーマでもある。間取り図の中に見つけたちょっとした違和感は、その謎を探れば探るほど、雪だるまみたいに大きくふくらんでいく。 間取りに関しては佐藤さん、ちょっとした思い出があるようで。 「昔、売れないころ、風呂なし四畳半のアパートに住んでいて、そのころ妻は“いつかこんな家に……”なんていいながら、空想した間取りを紙に書いていたんです。今回、それを思い出しました」 そこから約30年、今やさまざまな作品からオファーが絶えない、唯一無二の俳優に。 「先日も僕、ウチで晩酌してるときにそんな昔のことを思い出して、“夢のようだな”って妻にいったら、彼女は“なんかすごく遠くに来た感じがする”って。その表現はいいな、と思いました」 遠くには来たけれど今、54歳。ゴールはまだまだ、先にある。 「いい服が着たいとか、いい車に乗りたいとか、いい家に住みたいとか思って芝居を始めたわけじゃないので。やっぱりその、お芝居のもっと奥に行きたいなっていうことを今、思ってます。もっともっと、っていう感じですね。しかも演じるだけじゃなくて僕は別腹で、別腹っていうワードが一番しっくりくるんですけど、演じるのとは別腹で、書きたいという欲求があって。今まで映画を2本撮りましたけど、3本目に向けても、動いているところです」 まだまだいろんなことをやるぞって、顔に書いてある。
佐藤二朗 さとう じろう●’69年、愛知県生まれ。小劇場からスタートし、30代前半から徐々に認められ、個性的な役柄から正統派の演技まで、高い評価を集める。制作にも意欲的で『はるヲうるひと』(’19年)で第2回江陵国際映画祭最優秀脚本賞獲得。ドラマ『鎌倉殿の13人』『トクメイ!警視庁特別会計係』、映画『さがす』『リボルバー・リリー』など出演作多数。 撮影/北浦敦子 ヘア&メイク/今野亜季 スタイリスト/鬼塚美代子 取材・原文/岡本麻佑 ※エクラ2024年4月号掲載