皇太子さま 誕生日会見(全文) 両陛下から多くの話「今後の大きな道しるべ」
皇室の将来像について
皇室の将来像についてのご質問については、男性皇族の割合が減り、高齢化が進んでいること、また、女性皇族は結婚により皇籍を離脱しなければならないということは、将来の皇室のあり方とも関係する問題です。ただ、制度に関わる事項については、私からこの場で言及することは控えたいと思います。 皇室のあり方に関しては、国民と心をともにし、苦楽をともにする皇室ということが基本であり、これは時代を超えて受け継がれてきているものだと思います。過去の天皇が歩んで来られた道と、天皇は、日本国及び日本国民統合の象徴であるとの日本国憲法の規定に思いをいたし、国民と苦楽をともにしながら、国民の幸せを願い、象徴とはどうあるべきか、その望ましいやり方を求め続けることが大切であるとの考えは、今も変わっておりません。 同時に、その時代時代で新しい風が吹くように、皇室のあり方も、その時代時代によって変わってくるものと思います。私も、過去からさまざまなことを学び、古くからの伝統をしっかりと引き継いでいくとともに、それぞれの時代に応じて求められる皇室のあり方を追い求めていきたいと思います。
天皇皇后両陛下への思い
テレビ東京:天皇陛下は4月30日に退位されます。象徴としての務めを果たしてこられた天皇陛下と、支えてこられた皇后さまに、どのような思いを抱かれていますか。また、退位という形での御代替わりについては、殿下はどのように捉えていらっしゃいますか。 皇太子さま:天皇陛下には、ご即位されて以来、長年にわたり、日本国憲法の天皇の規定と、歴代の天皇の歴史に思いをいたされ、常に国民の幸せを願い、国民に寄り添い、苦楽をともにしながら、象徴天皇としてのお務めを果たされる中で、そのあるべき姿について、全身全霊をもって模索をしてこられました。また、皇后陛下には、そうした陛下のお気持ちを心から共有され、常に陛下をお支えになってこられました。そして陛下には、そのような皇后陛下を敬愛され、両陛下でご一緒に歩みを進めてこられました。 こうした両陛下のこれまでの歩みに思いをいたす度に、両陛下に対して深い感謝と敬意の念を覚えております。両陛下には、今後とも末永くお健やかにお過ごしいただけますよう、心よりお祈り申し上げます。また、両陛下がこの30年余り、一つひとつの行事を大切に思われ、真摯にお務めに取り組んでこられるお姿を、私も、そして雅子も、間近に拝見する機会をいただいてまいりました。そのようにおそばで学ばせていただいたことの幸せをあらためて噛みしめるとともに、両陛下のお心遣いに感謝申し上げます。そして、そのお姿をしっかりと心に刻み、自己の研鑽に励みつつ、今後とも務めに取り組んでまいりたいと思います。 私自身について言えば、両陛下のお手元で、温かい家庭において慈しみを受けながらお育ていただき、また、音楽やスポーツの楽しみを教えていただいたり、留学といった得難い経験をさせていただいたりしたことが、自分にとっても大きな糧となっていることに深く感謝をしております。 退位という形での御代替わりについての質問ですが、陛下のご退位については、以前もこの場でお話しした通り、陛下が全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないか、とご案じになられていることに、とても心を揺さぶられましたが、そのようなお考えに至られた背景については、十分にお察し申し上げます。 私としましては、こうした陛下のお考えを真摯に受け止めるとともに、常に心にとどめ、これからの務めを果たしていく考えです。