皇太子さま 誕生日会見(全文) 両陛下から多くの話「今後の大きな道しるべ」
皇太子さまは23日、59歳の誕生日を迎えられ、これに先立って行われた記者会見で、今年5月1日の即位に向けた決意を示された。 【動画】皇太子さま59歳「国民に寄り添い、象徴としての務め果たしたい」
即位を控えた心境やご決意
テレビ東京:宮内記者会の幹事を務めます、テレビ東京の勝俣と申します。本日は、このような機会を設けていただきまして誠にありがとうございます。殿下におかれましては、まもなく59歳の誕生日を迎えられますが、記者会一同、心からお慶び申し上げます。平成として、皇太子さまとして、今回最後となりますが、殿下はどのようなお考えをお持ちか、国民の関心は大変高まっております。この平成最後の会見、どうぞよろしくお願いいたします。 皇太子さま:どうぞ(※記者会一同着席) テレビ東京:それでは、よろしくお願いいたします。殿下が新天皇として即位されるまで、残り2か月余りとなりました。皇太子としての歩みを振り返るとともに、即位を控えた現在の心境や、新たな時代に臨む決意をお聞かせください。皇室全体では、皇族の減少や高齢化が進んでいますが、殿下はどのような皇室の未来像を描かれていますか。 皇太子さま:今から30年前、昭和から平成の新しい御代への移り変わりを、私は皇居の吹上御所で迎えました。深い悲しみの中に、一つの時代が終わったという感慨が頭の中を駆け巡ったことを記憶しています。立場が変わったことを認識しつつも、最初は、しばらくは皇太子さまと呼ばれても何か実感が湧かなかったことを覚えています。 ただ、昭和の時代から回数は限られますが、現在の両陛下のご公務にご一緒したり、昭和62年には、私自身も昭和天皇の国事行為臨時代行を務めさせていただくなどしたことは、皇太子としての準備を進めさせていただく機会になったものとありがたく思っております。 実際に皇太子となってからは、自分の中でもその役割に対する自覚というものが、より根付いてきたように思います。特に平成3年2月に「立太子の礼」を陛下に執り行っていただいたことで、その気持ちがより強くなったことを思い出します。 皇太子としての活動を行うにあたっては、国民の幸せを願い、国民とともにありたいと思っておられる陛下をお助けすべく、皇太子として、自分に何ができるかを常に考えながら、一つひとつの公務に取り組んでまいりました。 私は、さまざまな行事の機会に、あるいは被災地の視察として各地を訪問してまいりましたが、国民の中に入り、国民に少しでも寄り添うことを目指し、行く先々では多くの方々のお話を聞き、皆さんの置かれている状況や関心、皇室が国民のために何をすべきかなどについて、的確に感じ取れるように国民と接する機会を広く持つよう心がけてまいりました。こうしたことは、今後とも自分の活動の大きな柱として大切にしていきたいと思います。 国際親善と、それに伴う交流活動も、皇室の重要な公務の一つであると思います。これについては、これまで30か国以上を親善訪問し、また、日本に来られた賓客や外国青年代表、国際賞受賞者と、多くの外国の方とお会いする機会がありました。こうしたことが、日本と各国との友好親善の一助となったのであれば幸いです。また、これらの経験によって、自分自身も世界に対する視野を広げ、関心を深めることができたように思い、ありがたく思っております。 平成28年8月8日の天皇陛下のお言葉以来、これから私が担うこととなる重責について、あらためて思いを巡らせる機会も増えてきましたが、その度に両陛下のこれまでのご苦労とご努力に、感謝と尊敬の念を覚えます。また、両陛下からさまざまな機会に多くの話をうかがわせてきていただいていることも、今後、公務に取り組んでいく際の大きな道しるべとなるものであり、大変ありがたいことと思っております。 これからのことを思うと、とても厳粛な気持ちになりますが、引き続き自己研鑽に努めながら、過去の天皇のなさりようを心にとどめ、国民を思い、国民のために祈るとともに、両陛下がなさっておられるように、国民に常に寄り添い、人々とともに喜び、あるいはともに悲しみながら、象徴としての務めを果たしてまいりたいと思います。 また、以前も述べた通り、私が長年携わってきました水問題についても、そのことを切り口に、豊かさや防災など、国民生活の安定と発展について考えを巡らせることもできると思います。日本の変化に富む豊かな国土は、同時に自然災害、例えば台風や豪雨、津波などの影響を受けやすいことから、水問題への取り組みで得られた知見も、これからの務めの中で国民生活の安定と発展を願い、また、防災・減災の重要性を考えていく上で、大切に生かしていきたいと思います。