元日は「国税庁」が空を飛ぶ!? 固定資産税調査のためって本当? 1月2日以降に建てれば「対象外」になる?
元日から上空を、飛行機が行ったり来たり繰り返し飛んでいるのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。「正月早々何をしているのだろう」と思うかもしれませんが、実は固定資産税の調査をしている可能性があります。なぜ、元日に飛行機を飛ばさなければならないのでしょうか。 本記事では固定資産税の概要、元日に航空機で固定資産税の調査をする理由、固定資産税を節税する方法を解説します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
固定資産税とは
固定資産税は、1月1日時点で固定資産を所有する人が市町村(ただし東京23区は東京都)に納めなければならない税金です。固定資産とは建物や土地のほか、会社の車や機械、備品などが該当します。 固定資産税は、市町村の税収のうち約4割を占めています。大都市では割合が下がるものの、町村では約5割に達する重要な財源です。
元日から航空機を飛ばす理由
固定資産税を課すには、市町村が固定資産を把握しなければなりません。しかし、人力で全ての建物を一から確認することは現実的ではありません。 そのため、定期的に航空写真を撮影して、建物が改築・増築されていないかを調べています。以前の航空写真と比べて建物に変化が見られる場合は、職員が現地に赴いて確認する仕組みです。そして、固定資産税は先ほども説明したように1月1日時点での固定資産に課せられるため、1月1日前後に航空写真を撮影します。 ちなみに、航空写真による建物の確認は、以前は人の手で行われていましたが、現在はAIを活用する自治体もあるようです。
固定資産税は節税できる?
建物を建てると、航空写真で市町村に把握され、固定資産税の税額が上がる可能性があります。税額を抑える方法はあるのでしょうか。 ■固定資産税がかからない建物にする 固定資産税が課せられる「建物」に該当するには3つの条件が必要です。 ●外気分断性 ●土地への定着性 ●用途性 外気分断性とは、壁や屋根によって室内と屋外が区別されていることです。3方向以上の壁で屋根がある建物は外気分断性があると判断されます。 定着性は、建物が基礎などで土地に固定されていることです。 用途性は、建物が居住や貯蔵などの用途に応じて利用できる状態であることを指します。 例えば、地面に置いただけのプレハブ物置は定着性に欠けるため課税の対象外になりますが、基礎でしっかり固定すると課税対象となります。したがって、新しく建物を作る場合に、プレハブ小屋のように3条件のうちいずれかを満たさなくても問題ない場合は節税が可能です。 ほかにも、同一市町村に所有する建物の固定資産税評価額合計が20万円未満の場合は、固定資産税が課せられません。ただし、新しく建てた建物だけではなく、ほかの建物も合わせた「合計額」のため注意が必要です。 ■1月2日以降に建てる 固定資産税は、1月1日時点で課せられると説明しました。逆にいえば、1月2日以降に建てられた建物であれば、その年の固定資産税は課せられません。ただし、当然ですが翌年からは納税しなければならなくなります。 年末に建物を完成させるよりも、1月2日以降に完成するようにすれば、1年分の固定資産税を節約できます。
まとめ
固定資産税は、毎年1月1日時点で建物などの固定資産を所有する人に課せられる税金です。1月1日前後に航空写真を撮影して、建物に変化がないか調べています。 固定資産税を節約するには、「建物」の3要件を満たさないものにすれば節税が可能です。また、年末に完成しそうな場合は、1月2日以降に完成させたほうが固定資産税を1年分節約できます。 出典 総務省 固定資産税 福井市 固定資産税の免税点とは何ですか。 執筆者:山根厚介 2級ファイナンシャルプランニング技能士
ファイナンシャルフィールド編集部