「お前なんか“お父さん”じゃねえ!」直後に「ね、お風呂入ろ」“男性里親”と小学生 信頼あってこその言葉
「お父さん」と呼ばれる里親
田原さんには、子供が思春期になって、もし女の子だったら特有の問題が起きてきて、自分にはケアが難しくなるんじゃないか…という不安があったそうです。それで「男の子だけにしてほしい」と頼んで、いま4人の男の子と一緒に暮らしています。 先週紹介した松島智子さんは、自分のことを子供たちに「マッツって呼んで」と伝えたそうですが、田原さんは「お父さん」と呼ばれていました。 田原:幼稚園の参観に行くと、(ほかの子供たちが)「お父さん、お母さん」と呼んでるじゃないですか。その中で「田原さん」とか言うのは、僕の中でずっと違和感はあったんですね。子供たちも多分なんかムズムズ感はあったんだと思います。だから「お父さんと呼んでもいいし」という話はずっとしていたんですけど、なかなかそれがなくて。 田原:はっきりと覚えているんですけど、その年の運動会で親子競技があって、その日を境に「お父さん」になったんです。「お、お父さんと呼んだ!」と。そうしたら周りの子たちも「お父さん」と呼び始めて、そこからお父さんですね。多分、いろいろな思いがあったんだと思います。それが一番高まったのが運動会だったんじゃないかな、と。僕としては、生活する中で「自然だな」と思うんですね。 田原:僕自身が「父親としてできているか」と言ったら、そんなにはできてないと思うんですね。父親というよりは、どっちかと言ったら「お兄ちゃん」的な感じなのかな。本当に駄目な時はもうガツンと叱るけど、ビシビシやっていたら疲れるし。甘えは一番根本的に相手の信頼関係を築いていくのに必要なので、僕はそれを理由に甘えさせてばっかりなんです。多分、周りから見たら「もうちょっと甘えさせんでやれんかなあ」って思っているかもしれないです。「そこまでせんで良いっちゃない?」って。子供たちも「お父さん優しいよね」って。「優しいままでいさせて、怒らせんで」と。 他の2人の育親は女性ですが、「お母さん」という呼び方ではありませんでした。考え方はそれぞれです。 実母にはシングルマザーも多いんですが、状況によっては会える子供もいます。実母が訪ねてきた時に、横にいる育親さんをもし「お母さん」と呼んだら、嫌な気持ちになるかもしれませんね。「お父さん」より「お母さん」と呼ぶ方がハードルは高いのかなと思いました。