ジャングルポケット・斉藤慎二 法的には「被疑者」なのに「メンバー」の不可解 元歌手の弁護士が解説
お笑いトリオ・ジャングルポケットの斉藤慎二がロケバス内で20代女性に性的暴行を加えたとして、警視庁は7日、不同意性交などの疑いで斉藤を書類送検した。逮捕されず書類送検となったことについて、かつて歌手デビューも果たしアイドルとして活動した平松まゆき弁護士にQ&A方式で解説してもらった。 【写真】“シロ”を訴える斉藤の妻・瀬戸サオリのインスタで“反論”「相手の方からも行為があり」 Q ジャングルポケットの斉藤慎二が不同意性交で書類送検されたそうです。被害感情が強いのに逮捕されないというのが、よく分からないところです。 A 書類送検というのは、簡単に言うと警察がある事件について捜査した結果を検察官に引渡し、起訴するか不起訴するかの決定を促す手続きのことです。この場合、身柄は拘束されません。そうではなく、身柄拘束つまり逮捕までしたいなら、法律上の条件が揃う必要があります。(1)罪を犯したと疑うに足りる状況がある(逮捕の相当性)(2)逃亡又は罪証隠滅のおそれがある(逮捕の必要性)です。 今回は、容疑を認めているとのことなので、(1)はクリアしたとして、(2)逮捕の必要性があるかどうかです。彼は有名人なので逃亡のおそれはないと判断したのでしょう。また、今年7月の事件ですからある程度捜査は尽くされ罪証隠滅のおそれもクリアしたのではないでしょうか。つまりは、今回のケースで身柄拘束までする必要はないと考えたことから、書類送検にとどまったのだと思います。 Q 他に考えられることは。 A 他に一般的な話ですが、起訴前弁護活動と言って捜査のメスが入った初期の初期から弁護人を付け、複数の合理的理由を並べて逮捕の必要性はないと主張させ、逮捕が見送られることはあります。今回のケースで起訴前弁護が行われたかどうかは分かりませんが。 Q この後はどうなりますか。 A 弁護人が付いている場合は、早くから示談活動をしているはずです。示談が成立すれば起訴は見送られるでしょう。ただし今回は被害者が許さないと発言しているとのことなので、起訴されれば「被告人」となります。それまでは「被疑者」です。また、仮に起訴されたとしても今回は在宅起訴、つまりここでも身体拘束はされない可能性が高いのではないかと思います。 Q いまは「被疑者」段階なんですね。どうしてニュース番組等では「斉藤被疑者」ではなく「斉藤メンバー」と呼ぶのでしょうか。 A 私が芸能界にいたころ、報道各社の報道ハンドブックなるものを見たことがあります。うろ覚えですが、一例として「被疑者」ではなく「容疑者」と呼称する、書類送検の場合は原則として実名は伏せる等と書いてあったように思います。過去にアイドルグループの事件で「メンバー」呼びをしたことがありましたが、そのころからハンドブックに加えられたのでしょうか。今回は実名は伏せるわけにはいかないにしても、聞きなれない言い方でものすごく違和感がありますけどね。