理想は、いろいろな人が生きやすくなる社会

『マンガでカンタン！ ファシリテーションは7日間でわかります。』/Gakken刊

ファシリテーションをする上で、「場をつくる力」や「聞く力」と同じくらい重要な要素として、平石さんが掲げているのは「準備力」。平石さん自身が、多忙なスケジュールの中、情報に触れるためにルーティン化している習慣はあるのだろうか？ 「世論の動きは常に気にしています。日々、大手メディアのニュースを見ながら、SNSやネットのコメント欄も同時にチェックする。玉石混交ですが、そうしたところに世間の本音が潜んでいると感じます。世の中、ひとつの方向にワッと行きがちですが、どこかのタイミングで潮目が変わる瞬間があります。そうした動きに敏感でありたいと意識しています。 また、仕事以外でアンテナを広げることも好きな時間です。最近では、ミュージカルやプロバスケットボールの試合を観に行きました。Bリーグは試合そのものだけではなく、ハーフタイムのイベントなども観客が楽しめるように秒単位できっちり演出されていて、とても内容が濃く、見ごたえがありました。ニュース番組でも、多くの人に見てもらいたいと思って制作していますが、ショーやエンタメの世界には、言葉の使い方、盛り上げ方、音楽や照明などの演出も含め、さまざまなヒントが散りばめられていると感じます。自分の仕事とは離れた“プロフェッショナル”を見ることで、刺激を受けています」 報道・情報番組の司会という仕事の醍醐味について、平石さんは「同じような日常に見えて、少しずつ、そして、時に大きく、世の中は変わっていく。その中で、最前線にいるさまざまな人たちに会い、いろいろな意見を聞くことで、自分自身もまた少しずつ変化する。その瞬間が楽しい」と語る。 ABEMA Primeを担当して5年半、「いまでも反省ばかりの日々だが、ある種の完成形が見えつつある」と同時に、「バランス感覚やタイミングがズレていないかは常に省みたい」という冷静さも忘れない。 「特に論客が激論を交わす討論の進行については、瞬発力や公平性という意味でも、自分がきちんと番組のなかで機能しているのか、ということは周りからも意見を求めるようにしていて、いつも意識しています。この秋からは、日曜日の「グッド！モーニング」もスタートし、新たなチャレンジにやりがいと手ごたえも感じていて、すでに担当している土曜日(の「グッド！モーニング」)とあわせて「週末の朝の平石」もぜひ見ていただきたい。このくらいのキャリアになると、自分自身がどうなりたいかではなく、自分なりにできる社会貢献もしなければと感じます。理想としては、意見の合わない人がいても、そういう意見もあるよねとお互いに話し合えて、いろいろな人が生きやすくなる社会になっていけばいいなと思います。そのときに、このファシリテーションの方法が役に立ってくれたら嬉しい。やり方がわからなければ、これからも惜しみなくお伝えします(笑)」 前編【アベマプライムでひろゆき、宮台真司を捌く「猛獣使い」平石直之が明かす、「分断を超えて話し合う」ためにできること】では、意見がぶつかり合う場面の心構えなどを平石さんに聞いた。