危険運転は「危険」と「過失」の中間類型導入を 東京都立大・星周一郎教授(刑事法)の話
悪質な運転を処罰する危険運転致死傷罪の在り方を検討する法務省の検討会で13日、同罪の要件見直しを提案する報告書のたたき台が示された。高速度の運転や飲酒運転に関し、同罪を適用する具体的な数値要件を明記する案が柱。このたたき台への評価を、東京都立大の星周一郎教授(刑事法)に聞いた。 ◇ 飲酒運転と高速度運転の危険運転の類型に数値基準を導入することは要件の明確化につながり、評価できる。 数値基準を導入することで、これまで危険運転に認定されなかった高速度の運転事故も認定できるようになる。ただ、基準を下回れば危険運転にならない、という意味に取れないよう、規定の仕方には注意が必要だ。 検討会の報告書のたたき台では、法定刑の上限が20年の危険運転致死傷と7年の過失運転致死傷の中間の類型を定めることについて、「類型を切り出すことは困難」などと消極的な見方が示されたが、疑問が残る。 危険運転にあたるほど高速でもなく、飲酒もしていないが、双方が合わさって危険といえる運転もある。そうしたケースにも対処するため、危険運転と過失運転の中間的な類型は設けるべきだ。 遺族の中には事故が「過失」とされることに抵抗がある人も多い。「過失」という位置づけではない中間類型を設けることで、国民が求めている運転規制に近づくのではないか。(聞き手 宮野佳幸)