老後のために積み立てた資産ってどう取り崩すべきなの? 損しない方法を知りたいです。
3つの方法を比較してみた結果
3つの方法をご紹介しましたが、どれを選ぶべきでしょうか。 その答えは必ずしも一つではありませんが、ここでは一つの目安として、「取り崩し額をできるだけ多くしたいか」、それとも「残高をできるだけ残して運用に充当したいか」のどちらかで選ぶことを考えてみます。 前項でご紹介した例を元にシミュレーションした結果を見てみましょう(図表1)。
図表1は、毎年投資信託の基準価格が上昇し続けると仮定した場合の、取り崩し額と残高を3つのケースで比較したものです。それぞれのケースの内容は以下のとおりです。 ●「定額」(200万円を毎年取り崩すケース) ●「定量」(当初保有口数400万口を毎年80万口取り崩すケース) ●「定率」(毎年の口数残高に20%を掛けた口数分取り崩すケース) シミュレーションの結果によれば、3つのケースのうち、最も取り崩し額が多いのは「定量」のケースです(5年間合計で1120万円)。一方、5年間の平均残高が最も多いのは「定率」のケースです(5年間平均で593万円)。 つまり、この結果からは「取り崩し額をできるだけ多くしたい」方にとっては「定量」の取り崩しが、「残高をできるだけ残して運用したい」方にとっては「『定率』が向いている」といえます。 ここまでは投資信託の価格が毎年上昇し続けた場合のシミュレーションでしたが、今度は逆に下がり続けた場合はどうなるのでしょうか。図表2が、そのシミュレーション結果です。
この場合、結果が変わり、最も取り崩し額が多いのは「定額」のケース(891万円)となります。一方、5年間の平均残高が最も多いのは「定率」のケースで、これは価格が上昇を続けた場合のシミュレーション結果と変わりません。 現実的には、価格は上がり続けるのでもなく、また下がり続けるのでもないので、一度取り崩しの方法を決めたからといって、ずっと使い続けるのではなく、市場動向や自信の資金計画などの変化に応じて、柔軟に変えていくのがベストといえるでしょう。