夫の死亡による遺族年金、私の子だけでなく前妻の子と同居で影響はある?
公的年金の遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。遺族基礎年金は定額で支給される年金で、一方、遺族厚生年金は原則、死亡した人の報酬比例部分の4分の3相当で支給される年金となっています。 夫が死亡した当時、夫と妻の子だけでなく、夫と前妻の子がいて同居していた場合、妻(後妻)の遺族年金の額に影響はあるのでしょうか。
今回の事例
Aさん(40歳)は、25年以上会社員を続けている夫・Bさん(50歳)、AさんとBさんの間の子・Cさん(10歳・障害なし)、Bさんの前妻・Dさん(42歳)との間の子・Eさん(15歳・障害なし)と暮らしていました。 そのようななか、Bさんが亡くなりました。Bさんの死亡当時まで、Aさん、Bさん、Cさん、Eさんで同居していたことによって生計が同一であり、Aさんや学生であるCさんとEさんの年収も850万円未満であることから、Bさんによって生計を維持されていたことになります(図表1)。
Bさんの厚生年金加入記録から計算される老齢厚生年金(報酬比例部分)については、100万円相当となっています。なお、AさんとEさんは養子縁組をしていません。
遺族基礎年金を受給する人
Bさんの死亡当時、AさんもCさんもEさんも生計を維持されていたことになります。遺族基礎年金は生計を維持されていた「子のある配偶者」と「子」が対象遺族です。 遺族年金での子とは、18歳年度末までの子(一定の障害がある場合は20歳未満の子)を指し、子のある配偶者は、死亡した人の配偶者で、死亡した人の子と生計が同一の人を指します。 AさんにとってEさんは実子でも養子でもありませんが、死亡したBさんから見ての子です。Aさんの実子・Cさんだけでなく、前妻の子・Eさんと生計が同じであるため、Aさんは2人の子のある配偶者に該当します。 Dさんについては、そもそも配偶者ではありません。そのため、遺族基礎年金は配偶者であるBさんに受給権が発生し、また、Bさんの子であることでCさん、Eさんにも受給権が発生します。 ただし、遺族基礎年金は受給権者全員が受給できるわけではありません。受給権者で優先順位の最も高い人が受給できることになり、「子のある配偶者」が「子」に優先します。 そのため、遺族基礎年金は実際Aさんに支給されることになり、CさんとEさんは支給停止となって実際の支給がありません。配偶者であるAさんが受給する遺族基礎年金は、基本額に子の数に応じた加算がされて支給されます。 子の加算も、死亡した人から見ての子の数ですので、2人分(CさんとEさん)の子の加算がされた125万2400円(2023年度の年額。基本額79万5000円+子の加算22万8700円×2)となります。