イチローさん、母校の愛工大名電でサプライズ初指導 今夏愛知県ベスト16での敗退に「バッティンググローブきたでしょう? 回収です」
オリックスや米大リーグで活躍したイチローさん(51)=現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が18日、愛知県春日井市の母校・愛工大名電高グラウンドを訪れ、野球部員をサプライズで指導した。 参加した3年生を含む部員45人は、イチローさんの登場に驚きを隠せなかった。愛知県豊山町出身で、1992年に同校からオリックスにドラフト4位でプロ入りし、大リーグでも活躍した大先輩。今夏の愛知大会の前に打撃用手袋が贈られるなどの交流はあったものの、指導で訪れたのは初めてのことだった。 レジェンドOBに初対面した部員らの興奮が冷める間もなく、今夏はベスト16で敗退したナインにイチローさんが厳しくも愛のある激励の言葉を贈った。「3年生はバッティンググローブきたでしょう? 回収です。ベスト8は最低行ってくれないと。1回戦負けと一緒でしょ。愛工大名電にとっては」。さらに「みんなのことは気にしていた。夏の甲子園予選から見ていた」と続けた。 アップから選手ともに汗を流した。ランニングの一歩の大きさ、打撃のスイングとスターの一挙手一投足に選手らはくぎ付け。フリー打撃では、両翼100メートルの球場で柵越えの打球も放った。 甲子園に春夏25度出場し、今秋のドラフト会議でも石見颯真内野手(3年)がソフトバンクから5位指名されるなど多数のプロ野球選手を輩出している強豪。選手には「みんな上の野球を目指すわけだから。必ず先を見据えて頑張ってください。名電のプライドを持って、しっかりプレーしてください」とOBとしてメッセージを送った。清水隆太主将(2年)から花束を渡され、「必ず、甲子園に行きます。見に来てください」と言われると、「それは無理だよ(笑)」と応じた。 来年からプロの世界に飛び込む石見は「自分が行くところがプロ野球というところなので、その中でトップを走ってこられた先輩と一緒に練習ができたことはいい経験になった。来られた時のオーラが違い過ぎたけど、接していく中で親近感がわいて、一緒に野球をやれてうれしい」と目を輝かせた。 イチローさんが高校時代はコーチだった倉野光生監督とは、約18年ぶりの再会だった。同校OBの堂上直倫現中日コーチが在学中に中日に指名されて以来。倉野監督は「母校でこうして教えてもらえることが私たちも念願だったけど、多分、イチロー君自身もそうだったと思う」と感慨深げだった。
中日スポーツ