創刊102年「カトリック新聞」来春で休刊 ネット移行に信徒有志「紙媒体と共存を」
日本のカトリック教会の機関紙「カトリック新聞」が、創刊102年となる来年3月で休刊すると発表した。「インターネットのほうが多くの読者に伝わる」として、ニュースはネットに移行するという。これに対し、信徒の有志は「紙媒体を残し、ネットと共存してほしい」と再考を求めている。 ■定期購読者が減少 カトリック新聞は大正12(1923)年1月に「公教青年時報」として創刊。戦時中の用紙不足による休刊を経て、昭和21(1946)年に復刊。現在はカトリック中央協議会新聞事業部がブランケット判4ページで週1回発行し、国内やバチカンなど世界の動きを報じている。 今年3月の紙面で、日本カトリック司教協議会の菊地功会長が有料の週刊新聞としては来年3月30日付で休刊すると発表した。発行部数は公表されていないが、定期購読者の減少による厳しい経営状況やネットの普及を理由に挙げている。 来年4月以降はニュースはネットでの発信に移行し、無料の広報誌を月1回、教会などに配布するとしている。 ■ネット化「高齢者に不便」 信徒の中からは再考を求める声も出ている。取手教会(茨城県取手市)に所属する鈴木みどりさんはカトリック新聞に投稿し、「カトリック新聞は単なる『新聞』ではなく、日本のカトリック教会共同体を支えてきた精神的支柱としての宝物」と主張した。 有志で菊地会長に陳情書を提出し、購読料のみに頼るのではなく、カトリック教会として財政的に支えることなどを提案した。 菊地会長は7月、経営状況を改めて説明した上で「記者の取材努力による報道内容が今以上に広く多くの読者に伝わるためにも、ネットの活用がふさわしいと判断した」などと回答した。 ただ、カトリック新聞は平成25(2013)年に開設したニュースサイト「カトリック新聞オンライン」を人員不足のため5年で閉鎖した過去もある。 鈴木さんは「毎週届くカトリック新聞の休刊は、高齢者などネット環境になじめない信徒には不便。若い世代にとっても、ネットで得られないものが紙媒体にはある」と話し、ネットと紙媒体を共存するよう今後も再考を求める考えだ。 カトリック中央協議会の尾高修一新聞事業部長は「紙面でお知らせした通りであり、読者の皆様のご理解をお願いしたい」としている。