世界各国で活躍する日本のビジネスパーソン 〈4〉 ■カナダ編■ アイデンティティーの交錯 「カナダ人であり日本人であるということ」 TORJA Japanese Magazine (CANADA)
この連載は世界の日系メディアと協力し、各国で活躍する経営者などにインタビューしてお互いに掲載する連載企画。1月はブラジル編、2月はオーストラリア編、3月はアメリカ編、4月は最終回のカナダ編。各地で活躍する日本人の今の姿をお届けする(編集部)。 【取材 TORJA Japanese Magazine (CANADA)】科学をもっとオープンで協力的なものにしたい―。2歳でカナダに移住し、日本食レストランを経営する両親の次女として育った日系2世のシズカ・アオキさん。ビジネスを展開してきた両親と同じように、現在はトロントで200人以上を抱える急成長中のスタートアップ「BioRender」にて女性起業家として活躍している。 ジョンズ・ホプキンズ大学の大学院やナショナル・ジオグラフィックでの長年の経験から、科学者向けのイラストレーションツールを国を超えて提供しているシズカさんは、日本の文化や影響が起業に繋がった部分も大きいと話す。自身のアイデンティティーについての話から、会社を立ち上げるまで、そして今後の夢について話を伺った。
―小さいころに日本からカナダに移民されたそうですね。
東京で生まれて、2歳のときにカナダに移住しました。幼かったのであまり日本での思い出はありません。とはいえ、いとこや祖父母、親戚に会いに頻繁に日本へ行く機会はありました。小さい頃の一番好きな思い出といえば、やはり両親の経営するレストランでの時間ですね。両親はレストランでの仕事に全力で、いつも繁盛させようと頑張っていました。店を開いて37年近く経ちますが、コミュニティーに愛されていると感じていますし、もはや地域のレガシーになっていると思っています。
―そのようなご両親から学んだことも多いのでしょうか?
父のビジネスと私のビジネスモデルは完全に違うものですが、私が日々実践しているビジネスの基本は、製品づくり、勤勉さ、卓越した企業文化の構築に関する父のアドバイスにインスパイアされたものです。 父とはよく、人との関係や商品の重要性について話しました。良い商品を持つということはビジネスで核の部分になるし、優れた商品と真の価値を顧客に提供することに集中することが最高の経営哲学であると教えてもらいました。 また、レストラン産業ではいつもお客様をどう喜ばせるか些細なことに気を遣って考える必要があると思いますが、それはソフトウェアの世界でも同じです。私の会社が200人規模になった今でも、ビジネスの根底にあるコアな部分は父がこれまでアドバイスしてくれたことと繋がっていると感じています。