小3の息子に「魚のウロコ取り」をさせてみたら気づいた“重大な事実”。子どもが魚好きになるワケとは
毎日魚料理を出してくれた母に教えられたこととは?
私が子どもとの食事や食育を考える上で、魚食を大切にする理由はもう一つあります。 それは母の影響によるもの。私の幼少期時代を振り返ると、食卓に毎日魚が登場していました。母にその理由を聞いたところ、「たんぱく質は身体の基本だし、脳の6割は脂質でできていることを知って、魚食で質の良い脂質をとることを意識していたからよ。あなたたちが干物や煮魚を自分でほぐして食べている姿は本当に楽しそうだったわ!」との回答が。 もちろん肉も魚も食べていましたから、魚だけが良いという空気はまったくなく、その理由は私が大学生になったときに知ったほどでした。母は、食育や栄養面での理屈を子どもに押し付けることは一切なく、子どもが魚料理を喜んで食べる環境を作ってくれていたのです。
大人が“食材に対する印象や価値観”を植え付けないこと
このような母に育ててもらい、自分が食育を研究する立場として大切にしているのは、大人が最初に「扱うのが難しいけれど、魚は肉よりも良い」という印象や価値観を植えつけないということ。食事や食育を考えるにあたり、子どもに対して理屈や言葉ですべてを説明しようとしないことです。 もちろん栄養面から考えた場合、これまで肉メインだった食卓に魚食が加わるとしたらメリットも出てくるでしょう。でもそればかりが目的では楽しくないし、つまらない。食事を準備する大人も力が入るし、考えるだけで気疲れしてしまいます。 もっと気楽に考えながら、自分の家庭にあった魚料理を探していけば大成功。魚を買うシーンを想像したとき、肉と同様に切り身や加工品などがそろっていることにも気がつくでしょう。 最近では寿司や魚総菜に力を入れているスーパーが驚くほど増えています。もし親が魚の扱いや食べ方を知らない、親近感を抱けない場合でも不安になる必要はまったくありません。親子で一緒に調べて、便利な商品を見つけたりしていけばよいと思います。
いろいろな魚を知ることが、おいしい食育につながる
魚料理と言っても、焼き魚、煮魚、切り身のムニエル、一口大のから揚げなど、さまざまなものがあります。 子どもたちにとっては初めて見るものも多いことでしょう。頭や骨ごと食べられるシシャモがあるかと思えば、小骨に注意をしなければならないサンマやイワシもあります。 これらの違いは経験してみないとわからないことが多く、子どもは知らなくて当然です。焦らずに食べる機会を少しずつ作りながら、魚それぞれの特徴や食べ方を覚えていけばOK。子どもの好みや好きなメニューを確認しながら、おいしい楽しい体験を少しずつ重ねていくことを目指していくことが大切です。 もちろん安全に食べることも重要です。特に骨がささって取れなくなってしまう事故を防ぐために、親子で食べ方を確認しながらゆっくり食べていくこと。こういう食体験は大人になってから必ず糧になり、親子の楽しい思い出になることを実感しています。 <文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ> 【スギアカツキ】 食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
女子SPA!