子どものベランダや窓からの転落、夏は特に注意を 全国の死亡事故は7・8月、3歳が最多 徳島の女児も自分で窓開けあわや…
ベランダや窓から子どもが転落する事故が全国で相次いでいる。4月には広島市の高層マンションから3歳の女の子が柵を越えて転落し、死亡した。窓を開けたりベランダに出たりする機会が多くなる夏場は特に事故が増加するといい、関係機関が注意を呼び掛けている。 【動画】剣山系・石立山でツキノワグマ目撃 高知市の男性 北島町に住む会社員女性(43)は2年前の初夏、3歳になる娘と自宅で過ごしていた。家事の途中で一瞬目を離した隙に娘は2階に上がり、自分で窓の鍵を開けてベランダへ出た。気付いた女性が急いで追いかけると、手すりを越えられそうな高さのあるエアコンの室外機によじ登ろうとしていた。「見つけるのが少し遅かったらと思うと、ぞっとする」。 身体能力が発達して活発に動き始めた頃で、大人のまねをして窓やドアの開閉も自分でしたがった。「子どもは登れそうな所はどこにでも登るし、大人の想像を超えた行動を取る。特にエアコンをつける前の窓を開ける季節は細心の注意を払っていた」と振り返る。 厚生労働省の人口動態調査によると、2014年から18年までの5年間で、9歳以下の子どもが死亡した転落事故は37件に上る。発生時期が不明の1件を除く36件のうち、7・8月の発生が最も多く13件。次いで5・6月が9件、9・10月が7件だった。 年齢別に見ると、3歳が最多で9件。次に多いのが4歳で7件、1歳が6件と続く。転落場所で一番多かったのがベランダの15件で、全体の4割以上を占めている。 消費者庁によると、死亡事故以外にも「2階ベランダから転落し、全身打撲などの重傷」(4歳児)「3階の窓の網戸に寄りかかり、網戸ごと転落して全身打撲や肝損傷」(7歳児)など、大けがをした事例が報告されている。エアコンの室外機など足場となる物によじ登り、柵を越えるようなケースも目立った。 同庁は▽ベランダの室外機は柵から離して設置する▽窓や網戸、手すりが劣化していないか定期的に点検する▽窓の近くにソファやベッドなど、踏み台になるような家具を置かない―など、事故防止のポイントを紹介している。 子どもの手が届かない所に補助錠を付けるのも有効だが、設置している家庭は少ない。子どもの事故撲滅を目指すNPO法人「セーフ・キッズ・ジャパン」(東京)の調査によると、未就学児のいる家庭で補助錠を利用しているのは約3割にとどまる。大野美喜子理事は「転落事故は数秒の間に起こる。保護者が一瞬たりとも子どもから目を離さないようにするには限界があり、事故が起こらない環境をつくることが重要」と注意を呼び掛けた。