向島ドック・東幸海運、「修繕の現場」に反響。コラボでタンカー見学会
修繕ヤードの向島ドック(広島県尾道市)と内航船主の東幸海運(神戸市)は13日、入渠中のタンカー「しなつ」(3575総トン)と曳船「梅丸」「桜丸」(いずれも19総トン)の見学会を共同で開催した。当日は午前と午後合わせて計60人が参加。めったに入ることができないブリッジや機関室といった船員の働く場所に加え、塗装の塗り直しが行われている船底を間近で見て回った。 東幸海運が保有しているタンカーの見学会は初めて。2009年に伯方造船(愛媛県今治市)で竣工した黒油タンカーの「しなつ」が3回目の定期検査をするため、向島ドックに入渠するタイミングに合わせて今回のイベントが企画された。 同社は動画サイトのユーチューブやSNS(交流サイト)のX(旧ツイッター)を通じて、タンカー船員の日常や仕事内容などの情報発信を精力的に行っていることで知られており、チケットの購入が必要な一般枠30人は募集開始からわずか30分で完売した。 東幸海運の笹木重雄社長は反響に驚きつつ、「熱量が高いファンが多いと感じる」と話した上で、「働き方改革で船の必要数が増えている。一人でも多くの人にタンカー業界を知ってもらい、船員の地位向上につなげたい」と述べた。 見学会では、東幸海運の司厨(しちゅう)長が考案したレシピで作られたカツカレーに加え、向島ドックの手作りレモネードも提供。見学者たちは舌鼓を打っていた。 向島ドックの久野智寛社長は「こうした活動を通して、一般の人に船舶修繕の現場に興味を持ってもらうことは社員の誇りにもつながる」と話す。 同社は見学会で、保有する円形タグボート「梅丸」とそれを改良した楕円形タグボート「桜丸」も公開。参加者たちは操舵室の中を興味深げに覗き込んでいた。 「尾道は観光の街、歴史の街として知られているが、海事産業の街でもある。尾道水道の中にあり、尾道駅前の向かい側にある向島ドックの役割を改めて発信し、プラントツーリズムにもつなげていきたい」(久野社長)
日本海事新聞社