債務情報をアプリで管理・共有か 旧五菱会系ヤミ金事件
指定暴力団山口組・旧五菱(ごりょう)会系の流れをくむヤミ金融事件で、摘発されたグループがスマートフォンのアプリを使って、多重債務者らの情報を共有していたことが捜査関係者への取材で判明した。警視庁生活経済課は、複数のヤミ金融業者とのつながりがある管理部門がアプリを作成し、傘下のグループに情報を提供していたとみている。 【写真まとめ】ヤミ金融業者から押収したキャッシュカードの数々 捜査関係者によると、アプリは「カスーモ」という名称。借り入れを申し込んだ人の氏名や生年月日、住所を入力すると、ヤミ金融の利用履歴や未回収の債権の有無などを照会できる仕組みだった。 以前の旧五菱会系のヤミ金融には、多重債務者の名簿などを傘下のグループに提供する「センター」と呼ばれる管理部門があった。今回のグループも「センター」を利用していたとみられる。アプリの利用料として、ヤミ金融側が「センター」に月5万円を支払い、照会が50件を超えると、10件ごとに1万円を追加で支払っていたという。 貸金業法違反(無登録営業)の疑いなどで逮捕され、その後起訴された旧五菱会系ヤミ金融業者の元従業員だった針谷恭輔被告(44)らに対する捜査でアプリの存在が判明した。 違法な高金利でヤミ金融を営んだとして、11日に再逮捕された伊藤輝代子容疑者(51)も、アプリを使って顧客情報を管理していたとみられる。伊藤容疑者は「まったく分からない」と容疑を否認している。 返済に窮した顧客に対しては、伊藤容疑者の上位の指示役とみられる男性が電話で「他から借りてでも返せ」などと脅迫。それでも返済が滞ると、「手伝いをしないか」などと仲間に加わるように勧誘していたという。【加藤昌平】