沖縄のサトウキビからラム酒を 伊藤沙莉主演「風のマジム」原作・原田マハ氏と小説のモデル・金城祐子氏が撮影現場訪問
「沖縄のサトウキビからラム酒を作りたい」とビジネスを立ち上げた女性をモデルとした原田マハ氏の小説を、伊藤沙莉主演で映画化した「風のマジム」。沖縄県糸満市の撮影現場を原作者の原田氏と、主人公・伊波まじむのモデルとなったグレイス・ラム代表の金城祐子氏が訪問し、伊藤を激励した。 平凡に生きてきた契約社員の主人公・伊波(いは)まじむが、社内のベンチャーコンクールを活用して思いつきで出した企画が勝ち残ったことで、周囲の人々を巻き込みつつも、家族に支えられて夢を実現するという、主人公の成長と関わる人々の真心の物語。まじむとは沖縄の方言で「真心」を意味する。広告やショートフィルムで活躍し、新たなチャレンジを試みる芳賀薫の映画初監督作だ。 撮影の合間にメインの撮影場所のひとつである豆腐店で取材が行われた。伊藤は自身が演じたまじむについて「とてもまっすぐな女性。夢が見つかるまで、夢を自覚するまでのひとつひとつの過程で巻き起こる出会いや気づきを大切にできる魅力的な女性です!」と向かい風をうけながらも夢に向かって奔走するまじむの役柄を語った。 原作者の原田は伊藤を見た際に「あ、本物のまじむがいる!」と思えたと伊藤の演技、存在感を絶賛。モデルとなった金城は今回の映画化に関して問われると「原田さんが小説にしてくださり、そして今回映画になり、まさか伊藤沙莉さんに演じていただける事がいまだに信じられず、周囲には騙されているのではと言われます(笑)」と話し、伊藤らの笑いを誘った。撮影を見た2人は「まじむの悩みや葛藤、走り回る姿が過去の金城さんを見ているようだった」と改めて伊藤の演技力を称えた。 初めて沖縄の方言での演技に挑んだ伊藤は、「感情の乗せ方が難しかったが、音がやさしくて心地よい音でとっても好きな言葉です。方言での演技は難しく自分の中での戦いがありますが、方言指導の方と相談しながら柔らかくつくっていけました」と振り返り、沖縄滞在中の思い出を問われ、「沖縄の方は締めでステーキを食べると聞いたので」今回の滞在中ステーキを4回食べたと笑顔で明かした。 原田は久しぶりに訪れた沖縄の印象を問われると「執筆前の取材時、金城さんの案内で南大東島に行ったときのサトウキビ畑のざわわという音が印象的で忘れられないです。沖縄の地にくると風を感じると同時に、人々がその風を起こしているんだと思えます」と 12月16日にクランクアップを迎える伊藤は「本作は風を感じる映画、シーンを重ねるごとにこの作品のあたたかさを感じて、作品への愛情が日々増しています。そう思えることがまた嬉しいです。何かに挑戦しようとしている人たち、あたたかい気持ちになりたい人にぜひ見ていただきたいです」と締めくくった。 映画は2025年夏、コギトワークスの製作・配給で公開予定。