基礎年金3割底上げ 団塊ジュニアに照準(厚労省)
厚生労働省は11月25日、将来の支給額の目減りが見込まれる基礎年金の給付水準を、現状のまま推移した場合より3割上げる案を社会保障審議会年金部会(座長=菊池馨実早稲田大法学学術院教授)に示した。 賃金・物価の上昇よりも支給額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」の終了時期を、想定より約20年早い2036年度とする。現在50代前半の団塊ジュニアが60代後半になる頃に照準を合わせ、低年金となる高齢者の増加を避ける考えだ。 年末までに改革案をまとめ、25年の通常国会に提出する年金改革関連法案に盛り込む。底上げに必要な財源は厚生年金の積立金と国庫負担だ。追加で必要となる国庫負担は38年度が2000億円、50年度が1兆7000億円になる見込み。これをどう調達するかは未定だ。 公的年金の1階部分に当たる基礎年金の加入者だけでなく、2階部分の厚生年金の人も受給額は現状推移のままよりも増える。団塊ジュニアは1990年代前半からの就職氷河期に社会人となった人が多く、非正規労働や自営業の人も少なくない。 マクロ経済スライドによる給付調整が現状のまま続くと、その終了は2057年度。団塊ジュニアが80代になるまで受給額が目減りする。厚労省は将来、低年金の高齢者が社会の一定数を占める事態を避けるため、給付調整期間の短縮が必要と判断した。 ■在職老齢年金は縮小 同日の部会では、一定の給与収入を得た高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金」の対象者を縮小する案や、高所得者の保険料を引き上げるため、厚生年金の保険料の算定基準となる「標準報酬月額」の上限を引き上げる案も示された。この二つの案については方向性が了承された。