「ミスしたら罰則」は危険!……発達障害の人に「ペナルティ」を課してはいけない納得の理由
説得に効果はありません! 原動力は「納得」「利得」
「あの人」の行動を後押しするのは、意味のあるゴールです。ここで言う「意味のあるゴール」とは、「あの人」の利得につながり、本人が納得して追求できる目的のことです。 自分が得をしそうなことは誰だってやりたくなるものですが、もうひとつ「あの人」と関わるときに忘れてはならないのが「納得」です。 納得しなければ、たとえ規則として定められたことであっても「あの人」はなかなか従ってくれません。従ったとしても「渋々」「嫌々」なので、不満を抱えることになります。 ですから「あの人」に積極的に動いてもらうためには、その行為の目的を伝えて本人の「納得」を引き出し、「あなたの得になるよ」という利得で誘導することを試しましょう。 少し話が逸れるようですが、発達障害の専門家で、これまで私の本を多数監修してくださった宮尾益知先生(どんぐり発達クリニック名誉院長)は、こんなふうに教えてくださいました。 【宮尾先生のコメント】 「理由を明確にするといいと思います。頼む側の都合を強調するのではなく、 『4時までにこの作業を終わらせてね。そうすれば定時より早く帰れるよ』 など、『あの人』にとってのメリットが明確にわかる理由だとベストです」 理由を伝えるといい、というのは、折に触れて何度も聞きました。理由によって「あの人」が納得しやすくなるから、はっきり言葉にして伝えたほうがいい、ということだと思います。 引き続いて、「あの人」との家での接し方を「【後編】「声をかけただけ」なのに激怒! 発達障害の人が態度を急変させた「やむを得ない」事情とは」でお送りします。
野波 ツナ(漫画家)