崖の斜面に住み着いた“ヤギのポニョ”、あれから4年、双子のお母さんになっていた
「なんであんなところに!?」コンクリート崖の斜面で、ポツンと寂しくたたずむヤギの姿。2020年5月、千葉県佐倉市で京成本線の線路沿いの崖にすみ着いたヤギが発見され、大きなニュースとなった。 【写真】現在も高いところがお好き?お母さんになったポニョ
崖でポツンとしていたポニョも2頭の男の子のお母さんに成長
飼い主の元から逃げ出した0歳の幼いヤギは、アニメ映画『崖の上のポニョ』にちなんで「ポニョ」と名づけられる。発見から2か月もの間、崖にとどまっていたが、県内にある「むつざわヤギ牧場」が中心となって救出作戦を計画。線路を管理する京成電鉄の協力を得て、別の2匹のヤギを放って誘い出すことに。作戦はスムーズにはいかなかったが、3度目のチャレンジでなんとか成功。無事、保護に至った。 「私たちのヤギ園でポニョを引き取ってから4年がたちます。人間でいうと28~35歳ぐらいまで成長しました」と話すのはレジャー施設「佐倉草ぶえの丘」の田辺篤也園長。 「園に来たばかりのころは、ほかのヤギたちを警戒していましたが、日がたつにつれ、すっかり仲良くなりました」(田辺さん、以下同) 報道当時は、ポニョ目当ての観光客が殺到。前年比で来園者が8割増加した。もともとヤギは好奇心旺盛で、ポニョは特に人なつっこい性格だったことからますます人気に。エサやり体験では、自らお客さんの近くに寄っていく積極的な姿がよく見られるという。今でも土日には多くの観光客が訪れるが、平日は比較的のんびりした雰囲気だ。 「朝9時ごろに朝食を食べた後は広場内で自由に過ごしています。健康のためにエサは牧草中心ですが、ポニョはにんじんなど野菜も好き嫌いなくよく食べていますよ」 昨年、ポニョは双子の男の子を出産し、お母さんとなった。 「ポニョは生まれたばかりの赤ちゃんの体をきれいに舐めとったり、お乳をあげたりと素晴らしいお母さんぶりを発揮していました」 ちなみにお父さんは、ポニョの救出作戦でひと役買ったヤギの息子にあたる、豆の助。繁殖のため、むつざわヤギ牧場から一時的に借り受けたという。 「2頭の双子は、公募によって佐助・草助と名づけられました。草ぶえの丘で元気に暮らしています」 2021年には佐倉警察署から「電話de詐欺撲滅大使」に任命されたポニョ。警察署長から感謝状を贈られるなど、佐倉市のマスコット的存在として住民に愛され続けている。 「ファンの方々からは、『ポニョがいつも元気で安心します』などと声をかけていただいています」 取材・文/植木淳子