ゴールドマン、中国の成長見通し上方修正-製造業の生産活動上向き
(ブルームバーグ): 米銀のゴールドマン・サックス・グループとモルガン・スタンレーは10日、今年の中国経済成長見通しをそれぞれ引き上げた。製造業の生産活動と輸出が予想以上に加速していることが背景だ。
ゴールドマンの閃輝氏らエコノミストはリポートで、中国経済は1-3月(第1四半期)に前期比年率7.5%増と、従来予想の5.6%増を上回った可能性が高いと指摘。同行は現時点で2024年の成長率を5%と見込んでいる。従来予想は4.8%だった。
モルガン・スタンレーも24年の中国成長率予測を4.8%と、従来の4.2%から上方修正した。同日付のリポートによれば、政府当局がサプライチェーンの強化に重点を置くことで、製造業部門で設備投資が活発化する見通し。
世界2位の経済大国である中国は不動産セクターと個人消費の低迷が続いているが、今年に入り製造業の生産活動と貿易に明るい兆しが見え始めている。
1-3月GDP
ブルームバーグのエコノミスト調査では、来週発表される1-3月期の国内総生産(GDP)統計は前年同期比5%増と予想されている。23年10-12月(第4四半期)は同5.2%増だった。
中国国家統計局が11日発表した統計によると、デフレ圧力は依然として残っており、3月の消費者物価指数(CPI)は辛うじて前年同月比プラスを維持した。
中国の消費者物価、辛うじてプラス維持-デフレ圧力なお脅威
中国製造業の生産活動を測る民間指標、財新製造業購買担当者指数(PMI)は3月まで5カ月連続で活動拡大を示し、国家統計局が発表した3月の製造業PMIも持ち直しを示した。テクノロジー製品に対する世界的な需要の高まりを受け、輸出も増加している。
ゴールドマンのエコノミストらはリポートで、「最近の中国マクロデータは堅調」とし、製造業のデータは「中国経済が23年後半に底を打ち、上昇傾向にあることを示唆している」と付け加えた。
さらに、観光業の好調にも言及。国内旅行消費は4月第1週の連休で新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準を上回った。ゴールドマン内部の分析ツールによれば、在庫も1-3月期に増加した。