「青木崇高のビンタを仮想体験」 ゴジラのMX4Dがすごすぎて 椅子の上でタコ踊りしてしまった件
先日、「ゴジラ-1.0」をMX4Dで観た。ゴジラは今年で70周年、「ゴジラ-1.0」は日本で製作されたゴジラの実写映画としてはもう30作目というではないか。 【画像】スピルバーグも褒め称えたという海のVFX 実は私は今回が初ゴジラ。生まれる前から圧倒的人気を誇り、こまめにシリーズが公開されてきた「ゴジラ」を、よくぞここまで素通りしてきたものである。2016年公開の「シン・ゴジラ」というビッグチャンスもみすみす逃したが、ようやく……! しかもMX4Dも初体験。座席が動いたり風が吹いたりするアレであるが、この組み合わせ、想像以上にスリルショックサスペンスであった。一部始終を報告したい。 そもそも怪獣にはあまり興味がない私。それでも今回の「ゴジラ-1.0」は、周りの方の評価がやたらめったら高く、 「あれは映画館で見なアカンで!」 と勧められ、さすがに気になりだした。マジか……。そしてそこに、邦画初のアカデミー視覚効果賞にノミネートされたというニュースと、スティーブン・スピルバーグが3回も劇場に足を運んだという情報が入り、これが決め手となった。 スピルバーグ監督が3回見たものを、私が一度も見なくてどうする。なにより神木隆之介さんは好きな俳優である。万が一ゴジラにピンと来なくても、神木さんの勇姿は間違いなく響くはずなので損はいだろう。よし、迷わず行けよ、行けばわかるさ! もう上映されてからずいぶん日にちが経っている。慌てて映画館に駆け込むと「IMAX」らしき上映の時間がいけそう。通常の映画代に追加料金が1300円!? たたた高ッ。しかしこういうのは勢いである。それだけ音響と映像がいいのだろうとチケットを買った。
●大迫力! ゴジラの臨場感を全身で感じる
ところが、扉の前で「膝の上に荷物は置けないのでロッカーに入れてください」とスタッフに告知されびっくり。エッ、どういうことなのかと入り口を見ると「4D」と書かれている。マジか「IMAX」と「MX4D」を見間違え! オーノー老眼トラブル(泣)。ところで4Dってなんだっけ。このときは何もわからず心の準備なきまま、未知なる文明を体験することになったのである。 中に入ると座席が豪華。背もたれは高々と伸び、足置きまであるではないか。新幹線のグリーン席的な。せっかくなので社長のようにどっかり座り開演を待ったが、内心ドキドキ。映画を見るというより絶叫系アトラクションに並んでいる気分である。何が始まるの、私はどうなるの? 「ぬおお!」。映画が始まった途端、それはすぐわかった。ゴゴゴゴゴと椅子が振動し、スクリーンに映る飛行機に乗っているような感覚になるのである。なるほど体感系か。スリル満点。こっこれが2時間続くのか。大丈夫なのか! しかも早々にゴジラが登場し、ゴジラが動くたびにガッコンガッコンと椅子が振動。風がビュオッと吹きライトが点滅、画面ではゴジラがギャオース! もはやキャー神木さんかっこいいッなどとミーハーに愛でる余裕などなく、スクリーンを見たり椅子を見たりオロオロ状態である。 もう、いつ振動が来てもいいように、肩に力を入れて身構えるしかない。時折流れる、家族のシーンの愛しいことよ……。椅子の安定は心の安定。敗戦から必死で立ち上がろうとする人々の強さとやさしさに、胸が熱くなる。 が、癒されタイムは短い。圧倒的にゴジラとの戦いタイムが多い。銀座が破壊されるシーンは特に椅子の振動が容赦ない。足置きも足が安らげる場所ではなく、バチバチ石みたいなものが当たる感覚になる仕掛けが施されていた。ゴジラが襲い来る臨場感が足にまで! いだだだ! 少しのことにでっかい反応をしてしまう私は、もう椅子の上でタコ踊り状態である。体だけではない。日劇がゴジラに踏みつぶされるシーンは、朝ドラ「ブギウギ」ファンとしては大ショック。やめて、日劇を壊すのはやめて! スズ子のホームグラウンドなのよ。そこから名曲がいくつも誕生していくのよ!! しかしこの銀座で暴れるシーンは、怖いのだが、破壊の美というか、すさまじく美しい。怖いが美しいのだ。ゴジラって不思議だ。