イスラエル首相「ガザでの激しい戦闘は終わりに近づいている」
パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘を巡り、イスラエルのネタニヤフ首相は23日、地元テレビのインタビューで「(イスラム組織)ハマスとの激しい戦闘は終わりに近づいている」と述べた。最南部ラファで、ハマスの部隊の解体が近いとの認識を示したとみられる。一方、ハマスの支配が終わるまでは、ガザ地区での戦闘を続けると強調、米国が求める停戦案の締結に消極的な姿勢を見せた。 【写真】イスラエル軍の空爆後、残骸の中から食料を探す子どもら イスラエル軍は6月中旬、激しい戦闘が続くラファでハマスの4大隊のうち、半数を解体したと発表。攻撃エリアを拡大し、残りの戦闘員への攻撃を続けている。一方、ネタニヤフ氏は停戦交渉について、ハマスが拘束する「人質の一部を解放する」合意を結ぶ意思はあると述べた。米国などが求める停戦案は人質を全員解放し、恒久的な停戦につなげる案だが、ネタニヤフ氏は「ハマスが(合意を)拒否している」と主張し、自身も合意に消極的な姿勢を見せた。ハマスは6月中旬、仲介国に停戦案の修正を求めている。 またネタニヤフ氏はガザ地区での激しい戦闘が終わった後、部隊をイスラエル北部に配置し、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘に備える考えを示した。 イスラエル軍は18日、ヒズボラに対する軍事作戦の計画を承認。20日にはレバノン南部を空爆し、ヒズボラ幹部1人を殺害した。これに対し、ヒズボラは23日、イスラエル北部にドローン攻撃を仕掛け、イスラエル軍の兵士1人が重傷を負うなど、交戦が激しくなっている。 イランはヒズボラとハマス双方を支援しており、AP通信は23日、親イラン関係者らの話として、双方で本格的な戦闘となった場合、中東各地から戦闘員数千人がレバノンに向かう準備ができていると報じた。 米国もヒズボラとの戦闘に懸念を示している。ロイター通信によると、米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長は23日、「ヒズボラの(戦闘)能力は、ハマスを上回っており、イランはヒズボラに、より大きな支援を提供する傾向にある」と述べた上で、イスラエルによるレバノンへの攻撃は「イランや親イランの武装勢力を引き込み、紛争拡大のリスクを高める可能性がある」と指摘した。 米国務省によると、ブリンケン国務長官は24日、訪米したイスラエルのガラント国防相と会談する。ガラント氏はオースティン米国防長官らとも会談すると報じられている。【エルサレム松岡大地、ワシントン松井聡】