【Playback箱根駅伝】第90回/東洋大 2年ぶり4度目V 学生駅伝3冠目指した駒大を圧倒
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第90回箱根駅伝総合成績をチェック
第90回(2014年/平成26年) 史上最多23校が出場 日大、大東大が5年ぶりシード
出雲駅伝を大会新で制し、全日本大学駅伝で3連覇を成し遂げた駒大に史上4校目の「学生駅伝3冠」が懸かった第90回記念大会。そこに出雲・全日本2位の東洋大、前回王者の日体大が追いかける構図と見られていた。 記念大会ということもあり、通常よりも多い23校が出場。前年まで正式出場していた関東学連選抜は編成されず、前回出場校に加えて東海大、拓大、国士大、専大が予選会を通過して箱根路に返り咲いた。 1区は1、2年時に連続で区間賞を獲得している早大の大迫傑(4年)が引っ張りハイペースで推移していった。徐々に脱落する選手が続出し、17km過ぎには5人の集団へ。勝負ポイントとなった六郷橋付近で前回区間賞の東洋大・田口雅也(3年)がスパートし、これに日体大の山中秀仁(2年)、駒大・中村匠吾(3年)だけがついていく。最後は山中と中村の一騎打ちとなり、山中が区間歴代3位の1時間1分25秒で区間賞を獲得。中村と田口も1時間1分台で走破するなど史上稀に見る好勝負で戦いの幕が開かれた。 ハイペースとなった1区は日体大の山中秀仁(左端)が区間賞を獲得。10000mの日本人学生最高記録を持っていた大迫傑(早大、中央)は先頭から49秒差の区間5位と出遅れた 早くも優勝候補の3校がそろい踏みした2区では、駒大の村山謙太(3年)が4km過ぎに先頭へ立つと、そのまま独走態勢へ。村山は途中でペースダウンするも、駒大として大八木弘明監督が現役だった1986年以来となる戸塚中継所トップ通過を果たした。2位争いは東洋大の服部勇馬と早大の高田康暉の2年生コンビが争い、先にスタートした服部が先着。3秒遅れの3位でタスキをつないだ高田が区間賞を獲得した。 なお、2区では区間賞候補に挙げられていた山梨学大のエノック・オムワンバ(2年)が右脚脛骨の疲労骨折で走行不可能となり、無念の途中棄権となった。 3区では前年もこの区間で区間トップの走りを見せている東洋大の設楽悠太(4年)が爆走。首位を走る駒大・油布郁人(4年)との26秒差をひっくり返し、逆に55秒の大差をつけて2年連続の区間賞を獲得。4区では駒大の中谷圭佑(1年)が区間トップの走りで猛追するも上位5校の順位は変わらず、東洋大、駒大、早大、明大、青学大の順で5区走者にタスキが渡った。 東洋大の5区は、過去3年間2区を担ってきたエースで主将の設楽啓太(4年)。一時、駒大の馬場翔大(2年)に19秒差まで迫られるも、そこから突き放して2年ぶり5回目の往路優勝を達成した。往路2位は59秒差で駒大。そこから4分以上離れて早大が3位でフィニッシュし、前回王者の日体大は7位から前回5区区間賞の服部翔大(4年)が3人抜きの猛追で4位へジャンプアップ。区間賞は設楽が1秒差で服部を抑えて初受賞した。 往路を終え、V争いは東洋大と駒大の一騎打ちになるかと思われたが、復路は東洋大の独壇場だった。 6区で箱根初出場の日下佳祐(4年)が区間4位の好走で駒大との差を18秒広げると、7区の服部弾馬(1年)、8区の高久龍(3年)が連続区間賞でその差を3分40秒へ。 駒大は9区の窪田忍(4年)が28秒詰めるので精一杯で、復路は終始2位を独走。東洋大は10区の大津顕杜(4年)も区間1位の快走を見せ、2年ぶり4度目の総合優勝をつかんだ。2位は駒大、3位には9区の矢野圭吾(4年)が区間賞を獲得して順位を上げた日体大が入り、4位以下は早大、青学大、明大と続いた。 7位の日大が5年ぶり、9位の拓大が3年ぶり、10位の大東大が5年ぶりにそれぞれシード権を獲得した。 最優秀選手に贈られる金栗四三杯は10区で区間歴代2位の1時間9分08秒をマークした東洋大の大津が受賞。東洋大は復路新記録(5時間25分38秒)を樹立した。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部