自治体への国指示権拡大、可決 参院委、野党批判「分権が後退」
参院総務委員会は18日、大規模な災害などの非常時に、自治体に対する国の指示権を拡大する地方自治法改正案を審議した。質疑終了後に採決し、与党などの賛成多数で可決した。政府はコロナ禍での行政の混乱を踏まえ、国が迅速な対応をとれるようにする狙いだと説明するが、野党側は「地方分権を後退させる」と批判している。 国の指示権は現状、必要最小限に抑えられており、災害対策基本法や感染症法など個別の法律に規定がある場合に行使できる。改正案は「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」であれば、個別法に規定がなくても国が自治体に必要な対策の実施を指示できるようにする。 国と地方の関係を「対等・協力」と定めた地方分権の原則は維持し、非常時の特例として位置づける。指示権行使には、全閣僚の同意が必要な閣議決定を経る。指示に従わなかった場合の罰則は設けない。松本剛明総務相は協議などを通じて、指示に沿った対応を促す考えを示した。
立憲民主党などが、指示権が恣意的に行使されかねないと指摘。松本氏は「個別法では想定されていない事態」とした。