ありのまま「好きなように生きたらいい」 山形の武田さん、日記を本に
小説やエッセーを書いている武田真子さん(26)=山形市=が、日記をまとめた本「ふにゃふにゃ、ぴーんって生きてたい」を発刊した。日々の何げない出来事を、自分らしい言葉でユーモラスに時に哲学的につづっている。心も体も気張らずに過ごすことを良しと考え「緩く生きてもいい、バリバリ仕事してもいい。自分が好きなように生きたらいいんだ、と自身にも周りにも伝えたい」と話す。 武田さんは東北芸術工科大卒業。在学中に教員から日記を書くよう勧められ、それから日々の記録などとして文書作成ソフトに書き込んできた。本には2023年5~11月の日記をほとんど掲載した。 日記には、好きなアイスクリームをはじめとした食べ物、飼っているネコがよく登場する。大判焼き「あじまん」ネタは、県民なら「あるある」と共感できるエピソードだ。 精神的に弱い一面を表した記述もある。「心や体が忙しい時は書けないけれど、落ち込んでいる時もありのままを書く。それも自分らしい」と語る。家にこもりがちな日々もあったが「友人らが日記の内容に共感してくれると、通じ合えた、受け入れてもらえたかも、と自分の存在を感じられる」。こうした安心感や心強さが、本を通じて似た環境の人に伝わればいいという思いもある。
出版は、本の貸し借りなどで普段から付き合いのある本所洋平さん(56)=山形市、焼き菓子しょかん店主=が武田さんの文章に感動し、書籍化を提案したことで実現した。本所さんは「葛藤が見えたり、勇気をもらえたりする内容で、ゲラゲラ笑える話もある。命を削って生まれた表現だ」と話す。本のデザインは病気などで読書が難しくなった人も楽に読めるようにと考え、行間や字の大きさ、余白に気を配った。 B6判、231ページ。200冊印刷し、1980円。「しょかん」のほか、山形市のやまがたクリエイティブシティセンターQ1内の「ペンギン文庫」、創作物売買サイト「BOOTH(ブース)」で扱っている。