「なに演じても…」木村拓哉が苦悩する“キムタク像”からの脱却は「助演」挑戦と「作品プロデュース」
7月10日に公開した 『ドラマ「Believe」でサラリーマン役の木村拓哉 「なにを演じてもキムタク」批判こそ“大スターの証”』 【カッコよ】すごい!キムタクと工藤静香夫妻のカッコ良すぎる愛犬散歩姿 と題した記事で、お金と人を集めることができるのは“大スターの条件”でもあると書いた。その点においては木村も条件を十分に満たしている。だから、 「“何をやってもキムタク”でいいのではないか」 という話を書いた。今ではドラマ制作サイドもそれで良しとしている節がある。 だが、木村自身はかつて、バラエティ番組の中で、そう揶揄されることに悩んでいると明かしていた。気にしているのは間違いないだろうが、果たしてそこから抜け出そうとしているのだろうか。 昭和の大スターの中にも“何を演じても〇〇”と感じる俳優はいたものだ。たしかに言われてみればそう感じるが、それを感じさせなかったのは、彼らが“クセ者”でどんな役を演じても“しっくり”きたからだろう。わかりやすく言えば“こんな〇〇いるな”と感じさせていたからだ。 だが、 「逆に木村さんは“こんな〇〇いないだろ”が多すぎる」 と話すのは、ベテラン映画記者だ。 「それがすべてダメというわけではなく『HERO』は成功例でしたが、映画『君を忘れない』の特攻兵はひどかった。彼が“アイドルのコスプレ”といわれるのはそこで、昭和の大スターたちはその職業、例えば軍服や制服、作業服を着たらそれが似合っていてそれらしく見えたのです。それこそ高倉健さんは軍人でも、鉄道員でも侠客でも囚人でも、そのコスチュームは似合っていました」 木村も役作りをしているのだろうが、それが上手くいってない。ただそれは、木村だけの責任ではなく、主人公が型破りでカッコいいヒーローという設定ばかりの制作サイドの問題でもあるのだ。 「制作サイドがヒーローである木村さんを望んでいるわけですから仕方ないのですが、それではいつまでたっても演技の幅は広がらない。そのために助演をたくさんやったほうがいいのです。 高倉健さんだって大スターといわれるようになってからも、助演は数多い。今活躍している主役級の俳優は皆さん、助演をたくさん経験して、それが自分磨きに役立っています」(同・映画記者) 助演を数多くこなすことは、いろいろな役を演じることはもちろん、主役を引き立たせるために、一歩引いた演技ができるようになり、演技の幅も広がる。そして演技力が上がれば、自然とその役柄が似合うようになるという。 さらに、彼が不幸なのは、目先の数字に囚われている人たちに、“いいように使われてきた”ことだ。もっと上を目指すなら、やはり使われているだけでなく、自身で作品をプロデュースしたり、監督をやったほうがいいと話すのは、ある映画プロデューサーだ。 「彼は50歳を過ぎました。役者としてのキャリアも積んでいます。自分で制作に乗り出した場合、失敗したらすべて自分の責任となり、その責任を負わねばなりません。次はどうすればいいか悩み試行錯誤していくうちに、自己プロデュース力も上がってきます。 石原裕次郎さんや勝新太郎さん。海外ならトム・クルーズを見習うといいでしょう。自分が出演するしないに関わらず、制作指揮した作品で、ジェイミー・フォックスやロバート・ダウニー・Jr.など映画賞を取れるような多くの俳優を世に送り出しています。そうすることで木村さんも変われると思うのですが……」 木村は1987年に旧ジャニーズ事務所に入所、その1年後には早くもドラマ出演を果たしている。芸歴は37年、出演したドラマの数は50本以上、映画も10本以上に及ぶ。多くの俳優に慕われている木村だけに、彼がプロデュースするとなれば、“出たい”という役者は多いはずだ。 そして’00年に工藤静香と結婚して24年。女性関係はもちろん、これといったスキャンダルは一切出ていない。 それでも、SNSでは叩かれて、それが報じられる。つい最近も、自身のインスタグラムにアップした写真に批判的なツッコミが殺到した。 木村がバイクに腰掛け キャップに黒縁眼鏡、口元をバンダナで隠したスタイルがアンチには絶好の口撃チャンスだったようで、 《50過ぎてこの格好はない》 《バイク乗らなきゃダメなの?カッコつけなきゃダメなの?悪っぽくつっぱらなきゃダメなの?》 などと、木村のライフスタイルに否定的なコメントが並んだ。 50過ぎだろうが60過ぎだろうが、たとえ芸能人であったとしてもプライベートな時間にどんな格好をしようが、何に乗ろうが勝手だと思うのだが……。 アンチというのは木村がやることなすことすべてにツッコミを入れたくなるのだろう。 長きにわたって、何かにつけて話題になり、あれやこれや“ツッコまれる”タレントは日本の芸能界では稀有な存在と言える。そんな木村が、役者として成長し、アンチをうならせる日が来るのか。期待して止まないーー。 取材・文:佐々木博之(芸能ジャーナリスト)
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