台風10号の爪痕あちこちに…鹿児島屈指の観光地で遊歩道が陥没、カツオの町では市民に愛される展示ヨットのマストが倒れる
指宿市を代表する観光地・池田湖で、湖畔の遊歩道が約120メートルにわたって陥没しているのが見つかった。台風10号の影響とみられ、市は周辺を立ち入り禁止にし、今後関係機関と協議の上で原因を特定し、対応を検討する。復旧時期は未定。 【写真】台風10号の強風でマストが根元から折れたガンバリ号=31日、枕崎市松之尾町
現場は池田湖北西の花壇脇にある遊歩道の一部。市によると、29日昼ごろ、近くの観光施設の従業員から情報が寄せられた。陥没した深さは50~100センチほどで、ブロック舗装が崩れ、地層がむき出しになった場所もあった。 30日は午後から作業員が現場にロープを張り、観光客らが入らないようにした。 遊歩道は市が40年以上前に整備し、花壇とともに管理してきた。市は、台風による荒波が護岸側面のコンクリートの隙間から入り込み、土が吸い出されたのが原因とみている。 現場に隣接する駐車場は、来年1月にあるいぶすき菜の花マラソンでファンランニング(約12キロ)のゴール地点となっている。走り終えたランナーは遊歩道を通って移動する計画だが、復旧状況によっては影響が出る可能性もある。 市観光施設管理課の園田浩一郎課長は「最近は観光客も増えていただけに残念。抜本的な安全対策を講じて、一日でも早い復旧を目指したい」と話した。
◇ 枕崎市の海洋センター横に展示されているヨット「ガンバリ号」のマストが、台風10号の強風で倒れた。1984年に太平洋単独横断に成功したアリス・オツジ・ヘイガーさんの愛艇。老朽化で廃船の危機にあったが、市民グループの働きかけで免れた経緯がある。 屋外の船台に固定されている「ガンバリ号」は、29日朝、アルミ製のマストが根元から折れているのが見つかった。市スポーツ・文化振興課の中嶋章浩課長は「修復できるのかどうか、保存に協力した方々とも話し合い、対応を考えたい」という。 アリスさんの航海記「波濤(はとう)を越えて」には「海上30フィート。揺れるマストのてっぺんにしがみついて」作業したという記述がある。船は2年前に化粧直しし、年末の電飾でも親しまれている。市民グループは「展示物としてなら修復できるのではないか」と保存を求めている。
南日本新聞 | 鹿児島