<強く、前に・21センバツ明徳義塾>戦力分析/下 攻撃力 バント駆使、基本に忠実 1本狙う強打者も仕上がる /高知
「最近は甲子園でも体の大きい選手が力でねじ伏せる野球になりつつある。でも我々がやっている野球は正反対。しっかりした野球をやればパワー、スピードが無くても勝てるという見本になりたい」。2月23日の組み合わせ抽選会の後、U18(18歳以下)高校日本代表監督も務める名将・馬淵史郎監督はそう意気込んだ。 昨夏の甲子園交流試合で3安打ながら6点を奪ったように、バントを駆使した基本に忠実で堅実な攻めが明徳義塾の伝統であり、最大の特徴だ。 今年のチームに、いわゆるホームランバッターはいない。昨秋の大会でもホームランは0本。足でかき回すタイプかといえば盗塁はわずか一つでセンバツ出場校で最も少ない。 一方で、平均犠打飛は4・13本とセンバツ出場校の中で2番目に多い。「バントができなければ明徳の4番にはなれない」はチームの共通認識で、1点を着実にもぎとる意識が全員に浸透している。小柄な選手の中には梅原雅斗選手(3年)や西川魁星選手(3年)らのように「打撃での自分の役割はバント」と言い切る選手もおり、バント職人として重要な戦力になっている。 ただ、初戦でぶつかる仙台育英(宮城)は最速140キロを超える左右の投手がそろい、投手力の高さは全国随一。そうなるとやはりチャンスでの1本が欲しいところだが、対戦を控え、ポイントゲッターの役割を担う強打者の仕上がりは良い。昨秋の県予選決勝でプロ注目の150キロ超え右腕・森木大智投手(高知、3年)を攻略した池辺由伸選手(2年)や岩城龍ノ介選手(3年)は速球を苦にせず、控えに回った高松紳志選手(3年)も抜群の安定感があり、さまざまなタイプの投手に対応できる。 左打者が多いため、相手チームの左腕が先発してくるようなら右打者の活躍が試合のカギを握りそうだ。昨秋13打点を挙げた加藤愛己捕手(3年)や打率5割の米崎薫暉主将(3年)に期待がかかる。【北村栞】 ◇ 第93回選抜高校野球大会に出場する選手の学年は、18日紙面から新学年表記とします。