西武・榎田対阪神・藤浪ドラ1対決。古巣の虎ファンから「帰ってきて」の声
3点を失い1点差に迫られたがベンチは動かなかった。なお無死一塁だったが、ここから鳥谷、大山、梅野を3人で片付けた。榎田が自画自賛するのが、大量援護をもらった後の7回の三者凡退である。 最後は福留を見逃しの三振。アウトローに糸を引くような140キロのストレート。会心のフィニッシュだった。実は、同じ鹿児島出身で憧れの存在だった福留には阪神時代に、とても世話になった。 「ダメなときも色々と声をかけてもらった」 2014年3月30日、東京ドーム。開幕第3戦の巨人戦先発を任されたのは榎田だった。2回、大竹のセカンド後方にふらっと上がった打球を追って福留と西岡が激突した。救急車がグラウンドに入るほどの緊急事態。西岡は重傷で長期戦線離脱、福留も大怪我を負った。責任を感じる榎田をフォローしたのが福留だった。 「プレーの中でのことだから、おまえが何も気にすることない、自信をもって投げろ!と。声をかけてもらって支えてもらった」 2日にはグラウンドでの短い時間だったが阪神のメンバーと旧交をあたためた。 「球児さんは、ハグで迎えてくれて(笑)」。7年間、ともに戦ったメンバーとトレードという人生の転機を与えてくれた阪神への恩返しは全力で投げるーーことしかなかった。 「元気な姿は見せられたと思う」 野球には人生のドラマが凝縮されている。 もう一人の苦悩するドラフト1位は不運に見舞われた。 課題の立ち上がりに一死一塁から源田を併殺におあつらえむきのショートゴロに打ち取ったが、植田が送球を焦って打球を弾いたのだ。一死からはダブルスチールで揺さぶられ先制点を失う。二死から、さらにメヒアに左中間にタイムリー二塁打。だが、2、3、4回と見事に立ち直って9人で終わらせている。 5回には一死一塁から牽制がそれ走者を二塁へ進められ、秋山にカットをライト前へ。これを糸井がジャッグルする間に3点目を許すと、二死から浅村にもカットをセンター前に打たれた。 150キロ以上をコンスタントにマークした力のあるストレートをジャストミートできた打者はメヒア以外に一人もいないのに肝心なところで変化球に頼って痛打された。 「変化球を色々と試せた」 カウント球にも使えるほど制球が安定していた変化球が、逆に裏目に出て“配球の問題”がクローズアップされることになったが、昨年5月4日以来、勝てていないという不安も重なったのだろう。