伝え方のプロが教える「別れの挨拶」相手別にメール・スピーチ・対面のポイント紹介【例文あり】
お世話になった人が部署異動や転職をする場合、どんな「別れの挨拶」をすればいいのでしょう。挨拶を考える上でのポイントや盛り込んだほうがいい話題などについて、コミュニケーション研究家で「All About」の話し方・伝え方ガイドでもある藤田尚弓さんに伺いました。別れの挨拶でよくある「メール」「対面」「スピーチ」といったシチュエーションを想定し、例文も紹介していきます。
【相手別×送る側・送られる側】メールで挨拶する際の例文とポイント
同じ部署以外の人が送り相手の場合、まずはメールでの挨拶になることをお詫びしましょう。お世話になった相手であれば、冒頭に「本来は会って直接ご挨拶したいのですが…」などと一言お詫びを添えると好印象を与えることができます。 メールは簡潔すぎるより、少し長めのほうが丁寧さを感じ好印象になる傾向があります。「お世話になりました」だけで終わらせるのではなく、エピソードを交えながら感謝の思いを伝えましょう。 ◇【例文】同じ部署だったメンバーへのメッセージ 今月末でいよいよ退職ですね。3年間一緒に働いてきた鈴木さんがこの部署からいなくなってしまうのは、本当に残念です。 鈴木さんの働きぶりには、いつも刺激を受けていました。私の方が1年先輩なのに、関連部署へのきめ細かい心配りや丁寧なフォローなど、教わることばかりでした。 鈴木さんとは社外の勉強会を何度か行ってきましたが、会社が変わってもまた一緒に何かできればと思っています。今まで本当にありがとう。そして今後ともよろしくお願いします。 【参考】自分が異動・転職する場合は? 異動・退職する理由に軽く触れた上で、今までの感謝を伝えましょう。相手が異動・退職する場合と同様、共通のエピソードを交えながら感謝の気持ちを伝えるといいでしょう。 なお、転職する場合は、転職先の企業名までは伝える必要はありません。「次は○○業界で」「○○関係の仕事に」など、抽象度を上げて伝えるといいでしょう。今後もお付き合いを続けたい相手であれば、転職先への入社後に具体的に報告するのが一般的です。 ◇【例文】社内でお世話になった人へのメッセージ まずは、メールでのご挨拶になってしまうことをお許しください。 加藤主任には入社以来、ずっとお世話になりっぱなしでした。私がマーケティング部に異動した後も、何かと気にかけていただき感謝しております。新しい部署でなかなか力を発揮できず落ち込んでいたときに、私の悩みや不安をとことん聞いてくださったことは一生忘れられません。加藤さんがいたから、ここまで頑張ってこられたのだと思っています。 本当に長い間、お世話になりました。新しい職場でのご活躍を、心よりお祈りしております。 【参考】自分が異動・転職する場合は? この場合も、まずは直接会って挨拶できないことをお詫びしつつ、これまでお世話になったエピソードに触れて感謝の気持ちを伝えましょう。エピソードが思いつかないという場合は、「なぜこの人にあいさつしたいと思ったのか」を考えると思い浮かびやすくなります。 ◇【例文】顧客や取引先へのメッセージ 柏木様、これまで長きに渡りお世話になりました。本来であればお目にかかってご挨拶するべきところ、メールでのご挨拶になってしまうことをお詫びいたします。 貴社の担当となり、柏木様に初めてお目にかかった時のことを、昨日のことのように思い出します。以来、○○プロジェクトや△△イベントなど、様々な取り組みをさせていただきました。我々を信頼いただき、どんな意見にも耳を傾けてくださり、心から感謝しております。 【参考】自分が異動・転職する場合は? 相手が顧客の場合は、特にしっかりとメールでの挨拶になることをお詫びしましょう。中には「担当だったにも関わらず直接の挨拶がない」と怒ったり、不快に思ったりする人もいます。また、後任の紹介も入れましょう。顧客や取引先は、次の担当に対して不安を覚えています。後任の人となりがわかるような情報と合わせて紹介するといいでしょう。