日向坂46小坂菜緒さんインタビュー 深すぎる高校野球への愛
きらびやかな衣装で歌い、踊るトップアイドルが、高校野球の魅力の前では、別人のように熱狂したという。 【別カット】小坂菜緒さん、球児へエール! 大の高校野球ファンとして知られる、アイドルグループ「日向坂46」の小坂菜緒さん(21)。第96回選抜高校野球大会の開催に合わせて、深すぎる高校野球愛やアイドル活動との共通点、さらに「休むことの大切さ」などについて語った。 ◇「今しかできない感情、青春を感じた」 小坂さんが高校野球に興味を持ったきっかけは、小学生の時に出会ったあだち充さんの人気高校野球漫画「クロスゲーム」。父親が購入した単行本を読んで関心を持ち、テレビ観戦を重ねてとりこになった。 「今しかできない感情とか青春を感じました。選手のみなさんが涙ながらにインタビューを受けている姿を見て、私も自然と一緒に涙を流しました」 今も忙しい活動の合間にスマートフォンやテレビで観戦を欠かさない。アイドルとの共通点も感じるという。「一つ一つのお仕事、一つ一つの活動、ライブを見ている人にとってはその一度しかない可能性もあります。私はその一瞬をすごく大切にしたい。球児のみなさんがこの一戦に懸ける思いと同じように、私もライブ一つ一つに挑むという気持ちで活動しています」 最近で最も印象的だった試合は、昨夏の甲子園1回戦の北海(北海道)―明豊(大分)戦。北海が最大4点差を追いついて延長十回、9―8でサヨナラ勝ちした。「まさかの逆転勝利で。(自宅の)テレビの前で叫びながら見ていました。(最後の瞬間は)すごいと思って、自然と拍手していました」 ◇「ちゃんと自分を愛してあげよう」 大阪出身の小坂さんだが、オーディションを合格後、高校から上京した。甲子園を目指して故郷を離れる選手と自身が「似ている」部分もあるという。 「(自分が)地元を離れて夢に向かって活動することと、夢に向かって挑みに行くみんなの姿が、すごく似てるようにも感じました。同じように頑張ろうという思いもありました」 2017年にデビューし、日向坂46のセンターを務めるなどトップアイドルになった。一方で、必ずしも順風満帆だったわけではない。21年には体調を崩し、一時休業した。高校球児へのアドバイスを聞くと、「私も結構、無理をしてしまうタイプで、自己肯定感がすごく高いわけではないんです。休む勇気を出すのもすごく難しい。でも、一回区切りをつけてお休みしたことによって、ちゃんと自分を愛してあげようと思えるようになりました」と振り返った。 今春の選抜大会は日本航空石川など、元日の能登半島地震で被災した学校も出場する。「当たり前が当たり前じゃなくなった瞬間でもあると思います。それでも、みなさんが頑張る姿を私はずっと見守っていたいなと思いますし、全力で応援していきたいなとも思っています」 苦しみや葛藤を乗り越えてきたからこそ、そのエールは優しさにあふれていた。【岸本悠】 ▽こさか・なお 大阪府出身。2017年に「けやき坂46」2期生としてデビュー。19年の「日向坂46」への改名後は、デビューシングル「キュン」や「ドレミソラシド」(日本レコード大賞優秀作品賞)などでセンターを務める。1998年長野オリンピック・ジャンプ競技でのテストジャンパーの実話を題材とした映画「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」では、女子ジャンパー役を好演。23年秋からは、ラジオ番組「SONYSONPO QUEST FOR THE FUTURE」(J―WAVE)のナビゲーターを務めている。5月8日には、11枚目シングル「君はハニーデュー」を発売する。