在宅勤務が禁止になり「通勤時間1時間分」の労働時間がなくなりました。一年間でどれだけの損失になったでしょうか?
在宅勤務は、通勤時間がかからないのがメリットです。なかには、通勤時間を残業にあてているという人もいるのではないでしょうか。ただ、在宅勤務が廃止されたら、そのような働き方が難しくなってしまうことでしょう。 そこで本記事では、在宅勤務が禁止になって通勤時間1時間分の残業ができなくなった場合に、一年間でどのくらい手取り額が減るのかを解説します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
在宅勤務の残業代はいくら?
会社と雇用関係にある在宅勤務者が所定の労働時間を超えて残業をしたことが認められる場合には、原則として残業代が発生します。では、在宅勤務者が通勤時間1時間分の残業をしたら、残業代はどの程度になるのでしょうか。 残業代は、「1時間あたりの賃金×割増率×残業時間」で求められます。なお、残業には、「法定内残業」と「法定外残業」の2種類があります。1時間あたりの賃金を1500円、残業時間を1時間として、それぞれのケースで残業代がいくらになるのかをみていきましょう。 ・法定内残業を行った場合 法定内残業とは、労働基準法が定める法定労働時間(週40時間、1日8時間)内で、会社の所定労働時間を超えて行われた残業のことです。例えば、会社が勤務時間を9~17時までと定めていたとします。 1日の休憩時間を1時間とすると、所定労働時間は7時間です。17~18時まで1時間残業をした場合でも、法定労働時間の範囲内になるため、会社側は労働基準法上の割増賃金の支払い義務が発生しません。そのため、このケースでの残業代は、時給分の1500円のみとなります。 ・法定外残業を行った場合 法定外残業とは、法定労働時間を超えて行われた残業のことです。例えば、勤務時間が9~18時(うち休憩が1時間)までの会社に勤めている従業員が、18~19時まで1時間の残業をしたとします。 このケースでは、18~19時までの1時間が法定外残業に該当するため、会社側は従業員に対して割増賃金を支払わなくてはなりません。厚生労働省によると、1日8時間、週40時間のいずれかを超えての労働の割増率は、25%以上です。そのため、このケースの残業代は、1875円(1500×1.25×1)となります。 なお、割増率は労働の種類によって異なります。深夜(22~5時)に残業した場合の割増率は25%以上、休日に残業した場合の割増率は35%以上です。通勤時間1時間分の残業を休日に行ったのであれば、残業代は2025円(1500×1.35×1)となります。